「モデル・スピードライフ」誌において語り継がれる製作記事紹介
 
カーモデラーのパイオニア 
杉崎 英明 編
 

 
僕たちのお手本であり続けたモデラーがいた!!
現在のカーモデラー諸氏の作品に少なからず影響を与えてくれた
「杉崎 英明」氏の モデル・スピードライフ誌における作品を紹介したいと思う。

 
 
 簡単な「モデル・スピードライフ」誌の歴史だが、科学教材社の誇る月刊誌「模型とラジオ」が1964年頃から不定期に特集していたモデルカーレーシングの爆発的ブームにより、単独月刊誌として1965年11月号より「モデル・スピードライフ」として創刊する。 
 以後モデルカーレーシングのバイブル誌としてインドアスポーツとも言われたモデルカーレーシングの発展に努めていくのだが、予想もしなかった急激なモデルカーレーシングの衰退のため、1967年7月号(No.20)をもって再び「模型とラジオ」誌に吸収され、1特集として再スタートすることとなる。 そして、遂にその歴史は、1969年6月号をもって終了。 その後は「モデルカーレーシング教室」「プラ模型教室」などと名前を変えながらモデルカーレーシングの公式レース結果や新製品などを紹介していくこととなる。
 
(上記内容は、当方編集部の手持ち資料に基づいて記載したもので間違いがあればご指摘いただければ幸いだ)
 
 さて、杉崎 英明 氏が「モデル・スピードライフ」誌に初めて登場したのは、手持ちの資料を見る限り 1966年8月号(No.10)の「わすか2000円の費用で作った耐久レース用ラップカウンター」の製作記事が最初と思われる。また、同号のレーススナップ紹介ページに「日本グランプリ優勝記念 第1回プリンスR380レーシング大会 コンクール・ド・エレガンス部門 」において、杉崎氏のタミヤ製プリンスR380が優勝している。 
 このプリンスは第3回日本グランプリで優勝した砂子義一 氏の赤いR380をリアルに再現し、その製作技術の高さで一躍注目を浴びることとなる。

 そして、翌月の9月号(No.11)にはさっそくコンクール・ド・エレガンスで優勝した杉崎氏のプリンスR380の製作記事が掲載される。
これが 杉崎氏の同誌における初めての製作記事だと思われる。
 また、杉崎氏は、同誌表紙の背景ジオラマ製作なども積極的に行い、自動車模型におけるジオラマというジャンルをこの時代に確立していったものと考える。 私などはその影響をもろに受けたと言っても過言ではない。
では、杉崎氏の作品と毎月掲載の技術指導的記事の「プラスチックモデルカー製作のコツ」などを各号別に紹介していこうと思う。
 

(1) 1966/8(1966年8月号)No.10
・P10 「わずか2000円の費用で作った 耐久レース用ラップカウンター」
・P46 レーススナップ “日本グランプリレース優勝記念” 
 「第1回プリンスR-380レーシング大会 コンクール・ド・エレガンス部門優勝」
 
 
(2) 1966/9 No.11
・P8-10 「タミヤ製品を使って日本GPレースで優勝した プリンスR-380 に改造」
 
 
(3) 1967/2 No.16
・P11-14 「ジム・クラークの愛用車 1/12スケール コグレ製 Lotus 33 CLIMAX」製作記事
・P28-29 ・美しい・・・きれいな・・・・プラスチックモデルカー製作のコツ@
 
 
(4) 1967/3 No.17
・表紙 背景ジオラマ製作
・P18-21 コグレ製1/12スケールダイヤモンドシリーズ第2弾 '66 FORD MUSTANG 2+2
・P11-13 東宝模型製 1/15スケール NISSAN President V8 製作記事
 
 
(5) 1967/4 No.18
・表紙 背景ジオラマ製作
・P11-13 今井科学製 クラシックカーシリーズNO.3 1/16スケール ITALA イターラ 製作記
・P14-18 1/24 レーシングカー 
 “タミヤ製キングコブラとポルシェカレラ6のハードボディで新プロトタイプ車 Nissan R380-2型 製作記”
・P30-31 ・美しいモデルカーを作ろう
 プラスチックモデルカー製作のコツ B 落差式噴霧ガンの製作法
 
 
(6) 1967/5 No.19
・表紙 背景ジオラマ製作
・P11-14 1/24scale スロットカー ボディを・・・・バルサ材で作る “CAPARRAL 2F”
・P30-31 ・美しいモデルカーを作ろう プラスチックモデルカー製作のコツ C ガン吹き塗装のコツ
 
 
(7) 1967/6 No.20 *単独月刊雑誌として最終号
・表紙 モデルカーと背景ジオラマ製作
・P28-29 ・美しいモデルカー製作のコツ D 塗装後、筆塗りのコツ
・P30-32 ・MPC製 1/25 SCALE スケールモデル “FORD 'J' CAR” 製作記
・P40-42 コグレダイヤモンドシリーズ “フェラーリ フラット12” 1/12 FERRARI FLAT 12 製作記
 
 
(8) 1967/8 No.21 *「模型とラジオ」誌に吸収連載開始
・表紙 モデルカーと背景ジオラマ製作
・P-119-121 タミヤ製ローラT70のボディを使って R.クラークが乗ったLORA T70を作ろう 
 *タミヤ箱絵通りのLORAと記載されている
・P124-125美しいモデルカーを作ろう プラスチックモデルカー製作のコツ E 研磨および仕上げ(ワックス研磨)
 
 
(9) 1967/9 No.22
・表紙 モデルカー製作と背景ジオラマ製作
・P122-123 1/16スケールモーターライズ テトラ模型製 チャンピオンシリーズNo.1 CHAPARRAL II-C 製作記
・P124-125 ・美しいモデルカーを作ろう プラスチックモデルカー製作のコツ F ストックカーのゼッケンの書き方
 
 
(10) 1967/10 No.23
・表紙 背景ジオラマ製作
・P110-111 日本文化教材製 1/24スケール TOYOTA 2000GT を使って映画“007は二度死ぬ”に登場活躍する
 トヨタ2000GT オープンカー・・・ボンドカーを作ろう
・P112-113 1/32スケールモーターライズカー 
 テトラ模型製 U.S.ARMY ORDNANCE 1/32scale TRUCK CARGO M36/2 1/2 TON 製作記
・P114-115 プラスチックモデルカー製作のコツ G 英文字の書き方
 
 
(11) 1967/11 No.24
・表紙 背景ジオラマ製作
・P114-115 今井科学製 クラシックカーシリーズNo.4
 1/16スケール モーターライズカー BIANCHI ビアンチ 製作記
 
 
(12) 1968/2 No.27
・P117-119 大滝製作所製 1/16スケールモーターライズカー TOYOTA2000GT 製作記
 
 
(13) 1968/3 No.28
・表紙 背景ジオラマ製作
・P113-1141/25スケール モーターライズカー NBK 日本文化教材製 Nissan R380-II 製作記
 
 
(14) 1968/4 No.29
・表紙 背景ジオラマ製作
 
 
(15) 1968/5 No.30
・表紙 モデルカーと背景ジオラマの製作
・P113-115 モーターライズとレーシングカー 1/24 アポロモケイ製 LOTUS EUROPA LOTUS 47
 ロータス ヨーロッパ レーシング・バージョン 製作記 (スロットカーにも改造)
・P118-119 バンダイ製 1/20スケール モーターライズカー GHIA MANGUSTA ギヤマングスタ製作記
 
 
(16) 1968/6 No.31
・P117-119 1/24スケールレーシングカー '68 日本GPに搭乗した バルサ材で・・・・カレラ10を作ろう 製作記
 
 
(17) 1968/7 No.32
・表紙 背景ジオラマ製作
 
 
(18) 1968/8 No.33
・表紙 背景アイデア
・P125〜126 バンダイ製 1/20スケール ランボルギーニ マルツアル 製作記
 
 
(19) 1968/10 No.35
・1/20スケール モーターライズカー バンダイ製 TOYOTA-7 製作記
 
 
(20) 1968/11 No.36
・表紙 背景ジオラマ製作
 
 
(21) 1969/1 No.38
・表紙 モデルカーと背景ジオラマ製作 (岩は石、雪は小麦粉を使用)
 
 
(22) 1969/2 No.39
・P121-122 バンダイ製 1/20スケール MAKO SHARK マーコ・シャーク 製作記
・P105-107 今井科学製 1/20スケール HONDA N360 をいろいろと改造しよう スロットカーにも改造
 
 
(23) 1969/7 モデルカーレーシング教室として掲載
・P124-125 ハードボディキット 長谷川製 1/24スケール DINO 166P 製作記
 
 
(24) 1970/8 プラ模型教室
・P107-109 永大製 キャンピングカー スズキフロンテSS360 製作記
 
 
 以上が手持ちのモデル・スピードライフ資料より探した 杉崎 英明 氏の掲載製作記事である。
特に目立つのは、ただのプラモデル組み立て記事ではない。 何もないところから作ってしまう作品たちのアイデアが特に素晴らしいと感じてしまう。
バルサ材から作り上げてしまうボディたちや専用デカールがない時代に手書きで描いてしまう技術力はまだ小中学生だった私たちにカルチャーショックを与えてくれた。 そして、必ず製作するレーシングカーの3面図が描かれているところなどは見ていてカッコよく思ったものだ。
 また、表紙の撮影ではまさに杉崎ワールドな世界を展開し、私たちに影響を与えてくれた。 私は同じような富士スピードウェイのバンクや富士のピット風景をジオラマにして作ったことがあるのだが、これは杉崎氏の作品のすべてオマージュである。
 
 杉崎氏のモデル・スピードライフ以外の作品として有名なのは、「第4回東京レーシングカーショー」における「第1回モデルカーコンテスト」で最優秀作品となった「1/12スケール Porsche 917」はあまりにも有名な作品である。 バルサ材とタミヤ製1/12スケールPorsche910を2台使って作り上げた日本グランプリにおける“ジョー・シファート”駆る“917”はリアル感があり、そのピットまでも再現した総合作品として私たちにジオラマの楽しさを教えてくれた。
 
 まずは、丸4年間モデル・スピードライフ誌で活躍された杉崎氏の軌跡を辿ってみた。その後については何年か前に今だ当時のPorsche 917をお持ちとの記事を他の雑誌記事にて拝見した覚えがあるぐらいで不明である。 どなたかご存じの方がいらっしゃいましたらお教えいただければ幸いだ。
 
END

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