平成31年(令和元年)のゴルフ場企業法的整理状況が、一季出版(株)発行のゴルフ特信(1月29日発行、東京都中央区日本橋馬喰町2-2-12 TEL:03-5847-3366)の調べにより判明した。
30年比で件数で7社・コース数で9コース減と大幅に減少したものの、負債総額では8億円増と2年連続の増加となった。但し、平成6年の237億円、29年の329億円、26年の525億円、30年の539億円に次ぐ過去5番目の低水準となったようだ。31年トータルの法的整理件数は6件、コース数は既設6コース、建設・認可0コース、負債総額547億円となっている。
→ 参照 平成30年のゴルフ場企業法的整理状況
倒産件数が減っているということは、ゴルフ場を取り巻く環境は良くなっているのか? 実は、”倒産件数”という数字は表向きの統計で、中身は違ってくる。某新聞にも掲載されていたが、「法的整理
→ スポンサー企業の支援或いは自主再建 → 再生」の倒産型ではない整理手法が数多くあるのである。
私も数多くの記事を自前で掲載しているが、最近になり特に目に付くのが”経営交代”である。つまり、法的整理(倒産)に入る前に清算や事業譲渡するケースである。弊社で掲載しているだけでも平成31年は関東甲信地区で10コース、地方で8コースが経営交代している。
こちらは、いわゆる”倒産件数”には含まれないのである。これらの数字を含めて考えると大きく減少しているとはいいがたい。
→ 参照 平成31年、関東甲信越の倒産・経営交代・閉鎖ゴルフ場
→ 参照 平成31年、地方の倒産・経営交代・閉鎖ゴルフ場
31年の法的整理を行ったゴルフ場企業に関しては、弊社で全記事を掲載しておりますので、下記「平成31年法的整理企業・詳細一覧」をご覧下さい。
ところで、平成25年から法的整理以外にゴルフ場事業そのものを廃業したり閉鎖、または遊休地やホール数を減らしてメガソーラー発電所に転用したゴルフ場が多く見らるようになったが、31年の閉鎖ゴルフ場数(18ホール以上が対象 椿ゴルフ調べ)は13コースと、昨年まで5年連続減少傾向だったが、31年は5コース増と増加に転じている。
・平成25年30コース、
・26年43コース
・27年18コース
・28年30コース
・29年16コース
・30年8コース
・31年13コース
なお、令和2年に既に閉鎖が決まっているゴルフ場は、「日田国際ゴルフクラブ」(1月閉鎖、大分県、18H)、「高崎市民ゴルフ場」(3月閉鎖、群馬県、12H)の2コースで、日田国際はメガソーラに転用されるという。今後メガソーラーへの転用は、経済産業省の再生可能エネルギーの固定買い取り価格の大幅な値下げにより、事業が立ち行かなくなるケースが相次いでいることから激減するものと思われる。
→ 参照 全国で閉鎖(完全・一時・一部)したゴルフ場一覧、都道府県別に掲載
但し、今後もゴルフ人口の減少により、採算の厳しいゴルフ場の法的整理や閉鎖するゴルフ場は増加するものと思われ、閉鎖後の用地利用はメガソーラー一辺倒では無く、平成30年に閉鎖したアザレアCC(18H中の9H、茨城)のサービス付き高齢者向け住宅計画やライジングGC(18H、茨城)の牧場への転換等、別事業への用地利用も増えてきそうである。
→ 参照 ゴルフ場を閉鎖、或いは遊休地を利用してメガソーラーを建設
法的整理の態様別では、
・ 民事再生法=6件(前年8件)
・ 会社更生法=0件(同0件)
・ 特別清算=0件(同2件)
・ 自己破産=0件(同2件)
・ 破産=0(同6件)
負債100億円超は2件(昨年2件)
・ サンユウ産業(株)(富士御殿場GC)約233億円
・ 池田開発(株)(池田CC)105億円
ちなみに、平成31年(令和元年)12月末時点でのバブル崩壊以降の法的整理件数は795件、コース数既設977コース、建設・認可48コース、負債総額16兆9536億円となった。
・1995年~2019年のゴルフ場倒産件数・負債総額の推移・グラフ
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