帝国データバンク(平成30年4月12日付)によれば http://www.tdb.co.jp/
「滋賀」 (株)朽木ゴルフ倶楽部(資本金1000万円、高島市朽木宮前坊67-212、代表前田義礼氏)は、4月9日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。
申請代理人は溝渕雅男弁護士(大阪府大阪市中央区北浜3-7-12、共栄法律事務所、電話06-6222-5755)ほか3名。監督委員には小松陽一郎弁護士(大阪府大阪市北区中之島2-2-2、小松法律特許事務所、電話06-6221-3355)が選任されている。
当社は、1976年(昭和51年)1月に設立されたゴルフ場運営業者。「朽木ゴルフ倶楽部」の名称で、かつては27ホールの自然豊かな地形を生かしたコースとして約1万名を超える会員を集めていた。
しかし、都市部から離れた朽木地域の山間部に位置していたため会員数が広がらず、加えて冬場の積雪のために3カ月程度はクローズとなるなど営業環境は良好とは言えず、2001年8月に負債約143億円を抱えて大津地裁へ民事再生法の適用を申請していた。
2005年11月に再生手続が終結していたものの、その後も会員の脱会や資格放棄は止まらず、2016年頃の会員数は約4500名にまで減少、同年5月期の年収入高は約1億3200万円にとどまり、赤字決算を余儀なくされていた。
この間、2014年にはコースを18ホールに変更し、管理費を抑えるとともに空いたスペースに太陽光発電設備を設置(当社は土地賃貸と管理)するなどして採算改善に取り組んでいたが、会員数や利用客数の減少が続くなかで経費の支払いに窮するようになり、恒常的な資金不足を解消できないことから、民事再生手続きの申立を行い、スポンサーの支援の元で再建を図ることとなった。
負債は、2017年5月期末時点で約77億3200万円。
なお、滋賀県内で負債額50億円以上となる倒産は、2012年7月に民事再生法の適用を申請した(株)富士スタジアムゴルフ倶楽部(負債額約430億円)以来、5年9カ月ぶりとなる。
・・・・ ここまで ・・・・
朽木GC URL=http://www.kutsukigolfclub.co.jp/ (表示方法)
同GCでは、今回の民事再生法申請に関して「会員様向け・民事再生手続に関するQ&A」を設け、質問形式で会員に対応しており、4月15日(日曜日)午後1時にグランドプリンスホテル京都プリンスホール(京都府京都市左京区岩倉幡枝町1092-2)で会員説明会を開催するという。
<会員様向け・民事再生手続に関するQ&AのURL>
http://www.kutsukigolfclub.co.jp/pdf/minji/2.pdf
【コールセンター】 06-6222-5792(平日午前10時〜午後5時)共栄法律事務所内
帝国データバンク内での「スポンサーの支援の元で再建を図る」に関してQ&Aでは、既にスポンサーは選定済みで下記のように案内されている。
下記はQ&A文中を抜粋
現在、有限会社シーサイドハウジングをスポンサーとして選定しており、平成30年4月9日付で同社との間でスポンサー支援に関する基本合意を締結しました。
有限会社シーサイドハウジングは、賃貸住宅管理業務等を主たる事業とする会社であり、関連会社においてゴルフ場の運営も行っています。同社の概要は下記のとおりです。
商 号:有限会社シーサイドハウジング
本 店:沖縄県中頭郡北谷町字宮城3番地54
代表取締役:島尻千洋
上記スポンサー支援に関する基本合意に基づき、スポンサーである有限会社シーサイドハウジングに対して当ゴルフ場の運営を委託しており、当面の間、当社に対する資金支援を始めとする人的物的支援を受ける予定にしております。したがいまして、当社は、同スポンサーの支援の下、これまで通り、当ゴルフ場の運営を継続して参ります。
また、今後、同スポンサーとの間で当ゴルフ場の事業の承継に関する契約を締結し、同スポンサーに対し、当ゴルフ場に関する資産・契約等を承継させる予定です。
会員の処遇に関しては、プレー権はスポンサーがそのまま継承(年会費の完納者が対象)するものの、預託金に関しては、スポンサーは引き継がないものとし、「預託金返還請求権に対する弁済の可否及びその額は現時点では不明」と案内されている。
・・・・ ここまでで、以下略
同GC(18H、滋賀県高島市朽木宮前坊67-212、TEL:0740-38-2201)は、昭和47年7月開場で、湖西道路・近江舞子ICより29q、JR湖西線・安曇川駅より車で15分に位置。アップダウンが激しく攻撃型のホールが多くある山岳コース(6484Y、P71)。
(株)朽木ゴルフ倶楽部は、同GCの経営を目的に旧・西琵琶湖CC(当時は現・わかさCCとの共通会員制)から分離する形で設立された会社で、平成11年3月に開発許可を取得(増設9ホール分)し、13年7月に開場し27ホール体制となったが、同年8月に大津地裁へ民事再生法の適用を申請した経営をもつ。
参考までに、朽木GCの会員権相場(名義書換料:20万円、年会費:1・8万円=正会員、各税別)は、売り買い共に”相談”となっており、低位で低迷しているようだ(名義書換は本日より停止となりました)。また、2001年(平成14年)8月23日の1回目の民事再生法に関しては、下記の条件で認可決定し再生手続が終結している。
朽木GCの再生計画案は、スポンサーを付けない自主再建型でゴルフ場の収益で弁済を行う内容。
会員及び一般債権者の弁済率は、
・退会会員は、預託金を85%カットし残り15%を10年の分割弁済
・継続会員は、預託金を30%カットし残り70%を再預託(10年据置)
*据置後の退会は再預託金額を更に20%カットし残り80%を全額返還する
*年間償還額として5000万円を上限、超える場合は抽選とする
当時の預託金額面は最高で440万円で、平均すると140万円〜150万円となっていた。
今回の負債総額約77億3200万円の内、会員の預託金は約70億円となっている。また、会員数4500名は現在の登録会員数であって、預託金の返還請求のため退会手続き中の会員を合わせると8000名程度になるという。
なお、二度目の民事再生法を申請したゴルフ場としては、今年の3月28日に民事再生法を申請した「鳩山カントリークラブ」(埼玉)や平成28年2月1日に申請した「鹿島の杜カントリー倶楽部」(茨城)等(下記参照)があるが、ゴルフ場経営の厳しい現状を考えると今後も増えそうである。
ちなみに、帝国データバンク記事内の「2012年7月に民事再生法の適用を申請した(株)富士スタジアムゴルフ倶楽部」に関しては下記を参照して下さい。
→ 平成24年7月2日、富士スタジアムゴルフ倶楽部が民事再生法を申請
<参照資料>
法的整理を2回以上申請したゴルフ場
→ 1995年〜2017年のゴルフ場倒産件数・負債総額の推移
ちなみに、バブル崩壊以降のゴルフ場倒産による負債総額は16兆8449億円となっています。
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