令和2年(2020年)のゴルフ場企業法的整理状況が、一季出版(株)発行のゴルフ特信(2月12日発行、TEL:03-5847-3366)の調べにより判明した。
令和2年の法的整理件数は4件(昨年比-2)、コース数は既設4コース(同-2)、建設・認可0コース(同)、負債総額228億円(昨年547億円)とバブル崩壊以降では最低を記録。これまでは平成6年(1996年)の237億円だった。
→ 参照 平成31年(令和元年)のゴルフ場企業法的整理状況
倒産件数が減っているということは、ゴルフ場を取り巻く環境は良くなっているのか? 実は、”倒産件数”という数字は表向きの統計で、中身は違ってくる。某新聞にも掲載されていたが、「法的整理
→ スポンサー企業の支援或いは自主再建 → 再生」の倒産型ではない整理手法が数多くあるのである。
私も数多くの記事を自前で掲載しているが、最近になり特に目に付くのが”経営交代”である。つまり、法的整理(倒産)に入る前に清算や事業譲渡するケースである。令和2年に経営交代したゴルフ場は28コースとなっている。
こちらは、いわゆる”倒産件数”には含まれないのである。これらの数字を含めて考えると大きく減少しているとはいいがたい。下記の年代別経営交代件数を見て頂ければ一目瞭然である。もし、この半数が法的整理に入っていたとしたら・・・ご想像通りです。
→ 参照 令和2年(2020年)に経営交代したゴルフ場
・ 令和元年(2019年) |
59件 |
・ 平成30年(2018年) |
32件 |
・ 平成29年(2017年) |
169件 |
・ 平成28年(2016年) |
54件 |
・ 平成27年(2015年) |
40件 |
・ 平成26年(2014年) |
72件 |
令和2年の法的整理を行ったゴルフ場企業に関しては、弊社で全記事を掲載しておりますので、下記「令和2年法的整理企業・詳細一覧」をご覧下さい。
ところで、平成25年から法的整理以外にゴルフ場事業そのものを廃業したり閉鎖、または遊休地やホール数を減らしてメガソーラー発電所に転用したゴルフ場が多く見らるようになったが、令和2年の閉鎖ゴルフ場数(18ホール以上が対象 椿ゴルフ調べ)は8コースと、徐々にではあるが減少傾向にあることが窺える。
これは、平成24年7月1日に施行された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT、1KWh=42円)を活用した電力販売事業に参入する企業が増加したが、令和2年2月25日、政府は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を見直すための法改正案を閣議決定。
新たな制度では入札制度で認定を受けた太陽光や風力の発電事業者が売り先を自ら探し、国が市場価格に上乗せして補助する仕組みになるという。これにより買取価格は12円まで下がりメガソーラー事業転換もメリットがなくなってきたことが大きな要因となっている。
・ 令和2年 (2020年) |
8コース |
・ 令和元年(2019年) |
13コース |
・ 平成30年(2018年) |
8コース |
・ 平成29年(2017年) |
16コース |
・ 平成28年(2016年) |
30コース |
・ 平成27年(2015年) |
18コース |
・ 平成26年(2014年) |
43コース |
・ 平成25年(2013年) |
30コース |
→ 参照 全国で閉鎖(完全・一時・一部)したゴルフ場一覧、都道府県別に掲載
ちなみに、令和2年(2020年)12月末時点でのバブル崩壊以降の法的整理件数は799件、コース数既設981コース、建設・認可48コース、負債総額16兆9764億円となった。
・1995年~2020年のゴルフ場倒産件数・負債総額の推移・グラフ
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