ゴルフ場を再生した上で、”商品”として市場で売却、或いは不採算ゴルフ場の切り捨てなどでゴルフ場の流動化が進んでいる。本紙は、今年に入って転売されたゴルフ場をピックアップしてみたが、売却する側の理由は大別して3分類することが出来た。
「ゴルフ場の評価額がアップし売買益の確保」とする利益確保型、その逆で「営業利益の確保が難しく、売却損が出てもグループゴルフ場から分離し売却」とする分離売却型、「ゴルフ場の事業を再生して売却」とする再生売却型・・・・となる。
利益確保型は、勝田GC(18H、茨城県)、船橋CC(18H、千葉県)、相武CC(18H、東京都)。相武CCの場合は、小野グループ内の諸事情もあった模様だが、推定60〜80億円で買収し、推定84億円で売却している。
勝田GCの場合では、イマジニア(株)が売却理由を「モバイルを活用した様々なサービスのテスト運営の実施を目的としていた。その目的は達成できたものと考え譲渡する」と説明している。
しかし、最近のゴルフ場売買価格のアップを背景に、わずか2年で買収価格の推定12億円に10億円を上積みした推定22億円で売却していることから、利益を確保することが主な理由だと関係者はみている。
富士中央GC(18H、山梨県)の(株)タカギリゾートも利益確保を目指していたが、売却価格が不明なため利益の有無は分からなかった。
分離売却型は、沼田SCC(現・ゴルフクラブ スカイリゾート、18H、群馬県)、チサンCC黒羽(現・大田原GC、18H、栃木県)、那須黒羽GC(18H、栃木県)の3例。3例とも複数のゴルフ場を取得した中から選別して売却したもので、沼田SCCと那須黒羽GCは、取得前から売却対象ゴルフ場というレッテルを貼られていた。
ちなみに、チサンCC黒羽を売却したPG(PGGIH)グループでは、年度内にも2〜3コースを売却する方向にある。
再生売却型の代表格は神戸ロイヤルパインズGC(18H、兵庫県)で、米国系投資ファンドが、松下グループからゴルフ場を含む非主力事業を引き継ぎ、預託金やプレー権などを整理した上で売却(売却手続き中)。
ちなみに、上場のリゾートソリューションは、昨年から再生型のゴルフ場売買を事業化している。「投資再生ビジネス」で、取得したゴルフ場・ホテルを”再生バリューアップ”してファンド等に売却する。表には組み込まなかったが、北海道白老GR(18H、北海道)、鳥羽CC(18H、三重県)も再生売却型。
また、投資・コンサルタントの(株)アクティオ21も多治見北GC(18H、岐阜県)と加賀セントラルGC(18H、石川県)の2コースを再生して売却している。
今や、ゴルフ場は”商品”となり、価格もアップしてきた。競売で落札された東北地区のゴルフ場のケースでは、その1ヶ月後に落札者が落札価格の約10倍で売りに出しているほどだ。
また、リゾートソリューション関連のゴルフ場やハウステンボスCC(18H、長崎県)、旭国際グループの2コース等、ゴルフ場がファンドの投資商品にもなっている。
ゴルフ場売買は、会員を置き去りにして進められるケースもあり、クラブや会員の姿が見えにくくなってきた。
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