ゴルフ会員権相場は18年夏以降、上昇が止まっているが、全般的に回復の基調を維持している。
下記の表にもある通り、関東ゴルフ会員権取引業協同組合が発表している関東地区のゴルフ会員権の平均相場(18年12月21日発表、各年は年末時点)は、18年末に334.1万円となった。
過去10年では平成14年の215万円が底で、4年連続の上昇となった。708万円だった平成8年の半額にも達していないが、6年前のレベル(12年末で318万円)には戻したことになる。
株価や首都圏など大都市圏での不動産地下の回復、法的整理で倒産するゴルフ場企業の減少もあって、会員権相場が回復してきたもの。
特に立地に恵まれ、高額相場の株主会員制ゴルフ場や、法的整理を経ても新スポンサーや会員主体となって倒産リスクの少なくなったゴルフ場が見直され相場を戻した。神奈川ではレイクウッドGCや平塚富士見CC、千葉ではキングフィールズGC、平川CC、埼玉の鳩山CCなどがそうだ。
こうした状況から、会員募集を開始するゴルフ場が大幅に増加。東急不動産の他、PGグループやアコーディアでも積極的な募集を展開し、いずれも好調という。団塊の世代を対象にした会員権も続々生まれ(関連記事、@・A・B)、活気が出てきている。
今後も大企業を中心に企業業績は好調と予測されるだけに、ゴルフ会員権も緩やかに回復していくと予測される。
一方、ゴルフ場の法的整理は平成14、15年をピークに減少しており、今後も減少する傾向にある。但し、18年末に河口湖CC(山梨)や十里木CC(静岡)など地域を代表するようなゴルフ場も再生法を申請するなど、親会社との関係、預託金問題で意外なゴルフ場が後を追う可能性もある。
加えて、グループ化したゴルフ場企業との格差が激しく、不況型で破綻に追い込まれるゴルフ場も出てきそうだ。
またウィングフィールドCC(栃木)のように、旧経営会社の特別精算から10年間が経過して破綻したケースや、再生認可後5年で2度目の再生法となった愛野CC(長崎)など2度目の法的整理を余儀なくされるケースが増えてきそうだ。
法的整理の手法も再生法並みに可決要件が緩和された特別精算や、少額の債権者でも申立が可能となった会社更生法などに広がっている。
これら法的整理は全般的に減少することになるが、2度目の経営交代を行うケースも生まれており、ゴルフ場の売買は今年も活発になるのは間違いない。
バブル崩壊後、十分な施設整備が行われなかったゴルフ場が再生されることで業界も活気が生まれる。まだ暫く業界再編の時代は続きそうで、業界発展のためにも個々のゴルフ場、業界全体で課題を乗り越えて行く必要がある。
ゴルフ業界関連の主な統計指標 |
年度 |
ゴルフ人口
万人 |
ゴルフ場数 |
入場者数
万人 |
会員権相場 |
法的整理数 |
GDP増減 |
平均株価< |
@ |
A |
関東 |
関西 |
件数 |
コース |
名目 |
実質 |
14年 |
1,040 |
2,359 |
2,460 |
2,460 |
215 |
209 |
98 |
130 |
-0.7 |
1.2 |
8,579 |
15年 |
1,080 |
2,360 |
2,457 |
2,457 |
219 |
177 |
80 |
132 |
0.8 |
1.9 |
10,677 |
16年 |
1,030 |
2,363 |
2,463 |
2,463 |
241.7 |
146 |
82 |
110 |
0.5 |
1.7 |
11,489 |
17年 |
1,080 |
2,363 |
2,446 |
2,446 |
281.7 |
153 |
68 |
77 |
1.0 |
2.4 |
16,111 |
18年 |
- |
2,359 |
- |
- |
334.1 |
187 |
51 |
59 |
2.2 |
2.0 |
17,104 |
・ゴルフ場人口は、財団法人・社会経済生産性本部発表 |
・ゴルフ場数@は、本紙基準(9H、1600Y、16.5f以上) |
・ゴルフ場数Aは、NGK発表のゴルフ場利用税に基づく数 |
・ゴルフ場入場者数は、社団法人・日本ゴルフ場企業協会(NGK)発表で、年度集計(3月〜2月末) |
・会員権相場(平均)は、関東と関西のゴルフ会員権取引業協同組合発表(各年末) |
・法的整理数(18年は、12月中旬段階)は、ゴルフ場企業の法的整理数でコース数は既設のみ |
・GDP(国内総生産)は、内閣府発表 |
・日経平均株価(日本経済新聞社)は、東証225銘柄の平均(各年末、18年は12月22日終値) |
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