破産したゴルフ場は、いずれも買い受け先を模索しているが、その間の営業が多様化している。首都圏の破産ゴルフ場を調査すると、破産管財人の管理下で従来通り運営を継続しているゴルフ場もあれば、旧会員が管財人の許可のもとで自主管理を行うゴルフ場、さらには閉鎖して買い手を待つゴルフ場もあった。
会員が運営を行っているのは富士河口湖GC(18H、山梨県)。通常のクローズ明けから1ヶ月半遅れながら、旧会員で組織した「富士河口湖GC会員協議会」(約1000名が参加)が、地権者や元従業員等の協力を得て4月29日にオープンした。当初はPR不足から入場者が少なかったが、現在は平日で50名前後、土・日祝日は100名前後が来場している。
昼食は、スタートハウスを利用して、弁当やおにぎり等で済ませ、浴場は利用できない(シャワーは可能)などのハンディはあるが、自主運営が軌道に乗ってきたという。このため、月例競技を再開し、年会費(競技会参加者は2万6500円、参加外は3万1500円)も徴収し、プレー料金もメンバー料金を設けている。
なお、ゴルフ場の売却先については国内企業3社に絞られたようだが、最終決定は多少遅れ気味のようだ。
会員が管理・運営しているので、同GCはコース等の荒廃を免れているが、同GC系列で同じく破産した身延GC(18H、山梨県)は、今年に入って営業を行っておらずコースが荒れてきた。
既に、ゴルフ場としての営業を再開するには、施設整備で最低でも2億円超を投下しなければならない状況になっているといわれている。加えて立地も悪いが、買収希望者は多いという。最も中には牧場経営者もいるようだ。
一方、破産管財人のもとで営業を継続しているのは、飯能くすの樹CC(18H、埼玉県)や笠間CC(18H、茨城県)。飯能くすの樹CCは、旧会員に対してビジターより安い料金設定をしているが、旧会員の利用率が悪く営業は順調とはいえないという。
そこで、管財人側は夏期特別プラントして月曜日と金曜日を、食事・キャディ付で税込み1万円の料金設定をして集客に力を入れている。但し、立地が良いために買収希望者が多く、年内には新体制で営業を開始できる見込みのようだ。
また、笠間CCは破産前と同様の営業を行っており、旧会員はメンバーフィでプレーするなど破産前と変わらない。ローンスター(LS)グループの申立てによる破産で、すでに同グループの運営会社・PGMが、運営を受託していることから、破産手続きは早期終了し、同グループ入りする模様だ。
湯ヶ嶋高原C(18H、静岡県)は、閉鎖して買受け先を模索中。同Cの場合は施設のメンテナンスは継続しており、しかも早期売却が見込めたことからの閉鎖となった。買受け先は2〜3社に絞られている模様で、8月にも買受け先が決定すると見られている。
いずれにしろ、調査をしてみると破産のゴルフ場の買収を希望する企業が多く、ゴルフ場に関する破産業務は比較的順調に推移しているようだ。このため、ゴルフ場の売買金額は高騰しているという関係者もいる。
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