今回の預託金債務の一部免除のお願いに際して、個人会員の皆様の税務上の取り扱い、すなわち、個人の他の所得との損益通算の取り扱いにつきましては、現行の所得税法等の法令には明記されておりませんが、税務当局において通常、以下のように取り扱われているようです。
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特別精算手続の中で大多喜カントリークラブを退会される場合、預託金のうち債務を免除した部分の金額は、家事上の損失となり、他の所得との損益通算は出来ません。
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会員契約を継続する場合にも、債務を免除した部分の金額を本年の損失として取り扱うことは出来ない。しかし、会員にとっては運営会社が変わるだけで、大多喜カントリークラブの会員権としての性質(大多喜カントリークラブの優先的施設の利用権を有し、且つ、一部債権カット後の預託金返還請求権を有していること)が維持されていることから、将来、当該ゴルフ会員権を譲渡した時において、当初の取得金額(債権カット前の金額)を取得価額として譲渡損益の計算をすることが出来る。
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但し、上記の税務上の取り扱いは、旧運営会社が有する預託金債務の一部について新運営会社において債務引受を行うことを前提としております。一方、今回のケースにおいては、新旧運営会社間において預託金債務の引受が行われるようなスキームには成り得ませんが、新運営会社に再預託するをすることで、実質的かつ経済的に大多喜カントリークラブのゴルフ会員権としての性質が維持されているとも考えられます。
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従って、今回のケースが上記の税務上の取り扱いと同じ取り扱いとなるか否かについては、所轄の税務署により解釈が異なる可能性がございますので、念のため、顧問税理士もしくは所轄の税務署のご確認をお願い致します。
また、法人会員様に関する法人税法上の取り扱いにつきましては、特別精算の申立てがあった時点において貸倒引当金の計上は、税務上、認められません。特別精算に係る協定の認可の決定時点において、切り捨てられることが確定した預託金債権の金額を貸倒損失として認識することになります。
・・・・ ここまで
椿ゴルフ追加(参考資料)
→ ゴルフ会員権が倒産により金銭債権に転換する時期
→ 倒産ゴルフ場(損益通算)に関する国税庁の見解
→ 損益通算に関する質問集(分かりやすく解説)
確かに見解は分かれるかと思います。大多喜CCの場合、私的には問題なく損益通算は可能であるかと思いますが、弊社で扱った法的整理のゴルフ場会員権でも所轄税務署によって見解が違うようで、何とも判断しかねます。
”私的には問題なく”と言ったのは、旧運営会社が特別精算を行う前に、事前に新経営会社に40万円を新預託金(10年据置)として再預託するということが決まっていたという点です。28%の弁済金を受けてその後に、新運営会社との契約で40万円を再預託するのではなく、新旧への継続手続には一過性があるものと考えられます。
但し、前述の通り判断するのは「所轄の税務署」です。事前に確認しておくのが最善の判断かと思います。
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