国内経済は、100年に一度ともいわれた世界同時不況で、2年連続のマイナス成長を記録、景気回復が待たれている。一方、ゴルフ業界は長期低迷を脱し、ここ何年か連続でゴルフ場の入場者数が増加、石川遼プロなど男女若手プロの活躍やオリンピックでのゴルフ競技採用とゴルフはマスコミ、一般からの注目も一段と高くなっている。第4次ゴルフブームとも言える盛り上がりだ。
政府の経済見通しでは、21年の国内総生産(GDP)は実質マイナスとなる見通し。22年は1・4%の成長を見込む。民間の三菱総合研究所の試算では21年が実質2・7%のマイナス、22年は1・2%のプラスと3年振りの増加で、例年レベルのプラス成長に戻る見通しとしている。
景気回復を引っ張っているのは国内の輸出企業で、20年9月のリーマンショックで世界経済とともに急降下したが、21年3月頃から回復してきた。内需企業はユニクロ等は好調だが、洋服や家電などは販売価格の低下で緩やかなデフレを招き、内需関係の企業の収益を圧迫している。
民主党政権は3月末の衆院選で高速道路無料化等のマニアェストを掲げ9月に誕生した。税収不足で中小企業に対する減税も見送られ、経済対策も後退している。高速道路の無料化は部分的になりそうで、休日1000円で賑わった地方では今後、同様の効果が期待できるかも不透明だ。
ゴルフ場業界では2大外資など大手は堅調で、20年度は全国の入場者が4年連続増で7年振りに9千万人台に乗せた。ただし、全体ではプレー料金のデフレが進行して、ゴルフ場企業の収益は厳しい状況が続いている。
ゴルフ場は、かつて接待等で活況を呈したが、今は個人の利用が中心。特に高齢者の利用が中心で、景気の落込み局面でも利用者が増加した。
このため、ゴルフ場利用者数の急激な落込みは考えられないが、個人所得が当面伸びないのは間違いなく、デフレ圧力と戦いながら、ゴルフブームを生かす施策を取らないと、生き残っていけない。業界はジュニア育成、女性対策、団塊の世代のゴルフ人口がピークを迎える2015年問題と課題は増えるばかりだ。
ゴルフ場はITバブル崩壊後の景気拡大期に、長期不況と法的整理のラッシュを経験し、ゴルフ場企業の再生、セルフプレー化など構造改革が進んだ。さらに、試練が続くが、ゴルフブームは続いており、生涯スポーツとして健康、ライフパートナーとしての役割を果たす施策、サービスを提供できるかがゴルフ業界発展の鍵となる。
▼ ゴルフ業界は創意工夫でデフレ圧力の克服を
▼ 料金高い、オヤジくさい等のイメージを一新へ
▼ 環境問題は継続の課題、ゴルフ場の特性も生かせる
▼ 倒産・経営交代のゴルフ場の減少は今後も続く
▼ 会員権相場は低迷続く、個人ニーズの掘り起こし必要
▼ 用品業界はカジュアル化をさらに進めた商品開発を
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