秋津原ゴルフクラブ(18H、奈良県御所市朝町1075)を経営し再生手続中の青垣観光(株)(住所=コースと同)の債権者集会は2月7日に開かれるが、再生債務者である青垣観光が民事再生計画案の提出委を断念したことから、同集会では再生債権者である会員が提出した再生計画案(申請代理人=西村國彦弁護士、TEL03-5511-4400)のみで賛否を決議する異例な事態となった。
本紙の調べでは、このように債権者側のみの再生計画案で、賛否を決議した事例は過去にない。
その会員案は、イオン製薬(株)(大阪府松原市、坂本勇雄代表取締役、スーパー等経営のイオングループとは関係ない)をスポンサーとした再建案となっている。
具体的にはイオン側が設立した(株)秋津原が、28億5000万円(イオン製薬からの貸付金+イオン製薬からの出資金)秋津原GCの事業譲渡を受ける。
(株)秋津原は最大1200株(内議決権の有る株式は2株で、1株は坂本代表が保有、他の役員選任権のみ有しない1株は会員で組織した秋津会が保有)を発行し、継続会員には1ロに付き議決権のない1株を100万円で割り当て、株主会員にする。
会員への弁済率は預託金(810万円、850万円、1620万円)の14%なので、1ロ当たり100万円以上の配当が得られることから、一部返金を受けられるとしている。
一方、退会会員には預託金の14%を再生計画認可決定確定の日から1カ月以内に一括弁済する(額面810万円と850万円の会員権は認可決定確定の日から3週間以内にイオン製薬子会社の(株)アイアンドアールが150万円で買い取る方法も設けている)。
イオン側は、会員数が400口弱と少ないことから、継続会員ヘの割当て後等に残った株式を将来取得し(貸付金の現物出資の方法で)、株主会員権として売却して貸付金を回収する考えだ。
また計画案では、株式の全てを売却出来なかった場合にも、10年後には完全株主会員制に移行できるようなスキームとなっている。
ちなみに、会員案のみの決議になった直接的な理由は、債務者側が選定したスポンサー候補の近畿日本鉄道(株)が、既報通り計画案提出の直前になって撤退表明したことにある。
近鉄の撤退は、会員で組織した「秋津原GCを救う会」の代表らが会社更生法を申請したこと(参照記事)、近鉄による再生計画の概要に対して会員が反発したことなどのようだ。
なお、秋津原GCの場合は更正法の申立てもあり、再生計画案が不成立でも破産は回避できる模様だ。
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