呉大学社会情報学部紀要 社会情報学研究 地域の情報政策――その歴史と課題、展望。岡山情報ハイウエイと他地域を比較して |
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はじめに 「地域情報化」の必要性が語られ出してから久しい。ここ20年ほど、自治体行政のキャッチフレーズは、国際化と共に情報化が柱になってきた。最近ではこれに高齢化、少子化対策などが加わっているが、情報化は相変わらず重要なテーマである。だが、地域情報化の歴史は失敗の歴史である。キャプテン、ケーブルテレビ(CATV)など、バラ色の夢を描いて始められた事業の多くは挫折したり、いまだに赤字を抱えて苦難の道を歩んでいる。技術の発達に過度の期待を抱いたり、業界育成の口車とは裏腹のがんじがらめの規制にしばられたのが大きな原因だが、どうして地域情報化が必要なのかという意義は、これまであまり検討されてこなかったのではなかろうか。 そこで、その意義を考えながら各種の「地域情報化」の足取りをたどり、最近の「インターネット革命」の現実化によって見えてきた将来像を展望する。具体的には「情報化先進県」とされる岡山県の「岡山情報ハイウェイ」や高知県、岐阜県との比較、これらとは一歩遅れた広島県の情報化への取り組み、情報公開と情報化政策との関連などを中心に、有意義な地域情報化の達成には何が重要かを論じたい。 |
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2.1980年代の地域情報化 |