4.地域の側の条件


 地域情報化には、これまでに述べた中央官庁からの政策、あるいは情報通信関連産業からの働きかけという流れのほか、地方公共団体の側にもそれに取り組む背景があった。それは、行政事務への電子計算機の導入に伴って、情報処理を担当する職員が増え、行政事務の効率化だけでなく、住民へのサービスや地域の振興にコンピューターを生かそうとする意欲も高まったことだ。

 地方公共団体における電子計算機等の利用状況については、自治省情報政策室が毎年の調査結果を発表しているが、電子計算機(パソコンを除く)の利用は、都道府県、指定都市及び特別区及び市では、昭和56年(1981年)以降全団体で利用されるようになり、一般の市町村でも98年には全市町村の98.8%に当たる3182市町村(うち市657団体、町村2,525団体)で利用されている。

 都道府県で初めて導入したのは、1963年の東京都と神奈川県で、市町村では1960年の大阪市が最初だった。60年代以降は各地に行政や中小企業などの業務を請け負う「電子計算センター」の誕生が目立つようになったが、こうした企業や、そこで育った人材が80年代後半、各地で「地域キャプテン会社」を作ったケースが多い。地域キャプテン会社は、今も各地で苦闘しているのが現実だが、計算センターという形で全国にまかれたコンピューター利用産業の種子からは、インテック(富山市)のような有力情報企業が育ったりもしている。


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