東証一部上場のヤマハ(株)(静岡県浜松市)は、子会社で運営しているキロロゴルフクラブ(18H、北海道余市郡赤井川村冨田148-1、TEL0135-34-7072)を今年10月末で閉鎖すると平成15年5月9日に発表した。閉鎖に伴いゴルフ場の建物。構築物等の評価額10億4000万円を今年3月期に前倒しして特別損失に計上する。
同GCは、リゾート施設「キロロ」の夏の集客施設として平成5年にオープン。法人の福利厚生用として4200万円等で数種類のリゾート会員権も募集した。
当初は専門の事業子会社で開発したが、開場後はヤマハリゾートに移管され、昨年4月には「キロロ」と同GCの運営を新たに設立した運営子会社・(株)キロロアソシエイツ(中島弘社長)に委託、また既報通り昨年10月には、ヤマハ(株)がヤマハリゾートを吸収合併し、会員権の預託金償還にも耐える体制を敷いていた。
ヤマハによると今回の決定は、「現在の経営情勢及び、北海道内ゴルフ場の低価格化傾向が続く環境認識の下、今後の売上げ見通し、中期的な営業キャッシュフローの黒字化の可能性を検討した結果、事業の選択と集中の観点から閉鎖することが妥当との判断に至った」といている。
ゴルフ場以外のスキー場、宿泊施設等の「キロロ」は営業を継続する。ちなみに、ヤマハでは静岡県の浜名湖湖畔で営業しているホテル・レストランの「寸座ビラ」も今年6月末で閉鎖する予定で、「営業ペースのキャッシュフローで黒字が出ない事業は、運営会社での営業継続が困難」として、撤退を決めたという。
キロロリゾートの会員数は184名で、今年12月に約100億円の預託金償還時期が到来するが、「今年9月頃には会員に案内し、返還請求があれば対応したい」(広報室)としている。
また、ゴルフ場の今後については「営業を継承する企業が出てくれば対応したい。最悪の場合は原野に戻すことになる」という。キロロGCの従業員70名(内、正社員は7名)については運営子会社において、職種転換を含めた最大限の雇用確保の努力をするとしている。 発表によれば、キロロGCの昨年3月期のゴルフ場利用者数は2万1000人で売上高は2億1000万円だったが、今年3月期では1万9000人で売上高は1億8000万円に落ち込んでいたという。
なお、ヤマハ(株)は今年3月期の連結決算で、前期比4.4倍増となる338億円の経常利益を計上するとしている。
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