ゴルフ場の経営者団体である社団法人・日本ゴルフ場事業協会(NGK)は、“財務省が会員権の損益通算廃止を検討”とした報道に危機感を抱いて、廃止に反対する署名運動を急遽開始した。また、各ゴルフ団体にもNGKの反対運動をバックアップするよう呼び掛けている。
今回の事態は、読売新聞が3月1日に「財務省は、個人が保有するゴルフ会員権を“投資対象のぜいたく品”と見なし、売却時に生じた譲渡損を他の所得と相殺(損益通算)できないよう所得税法などを改正する方針を固めた」と報じたことが発端。
それに追打ちをかけるように、日経新聞が「自民党税制調査会は検討作業を例年より半年余り前倒しし、2005年度税制改正の議論を4月から開始する方針を固めた」と報じたことから危機感を強めて署名運動を開始することになったもの。
損益通算ができなくなると、
@ 会員権相場の下落が予想される、
A 市場売却を諦めてゴルフ場側に預託金の返還請求をする会員が続出するおそれがある―等の
理由から、NGKでは“窮状にあるゴルフ場経営の存亡に関わる事態”と判断している。
署名運動は、NGK加盟のゴルフ場だけでなく、パブリックや株主会員制など国内すべてのゴルフ場事業者(経営者・支配人)を対象とした署名と、一般ゴルファーを対象とした署名の二本立て。
事業者には谷垣禎一財務大臣宛の「ゴルフ会員権損失の損益通算に係る所得税法改正に断固反対する」とした書類に署名し、4月30日までにNGKに返却するよう要請、ゴルファー向けの同主旨の署名運動は6月30日まで各ゴルフ場で実施し、NGKに返送することを請願している。
NGKの森川理事長は、
@ “法人は会員権の売却損を損金として落とせるのに個人は処理できない”、“売却益には課税する
のに売却損に対応する税制措置がなくなる”とのことでは税制に矛盾が生じる、
A ゴルフは高齢者を含め健康に寄与するスポーツ、会員権はその場を確保するもので、ぜいたく
品ではない―等から強力に反対運動を進めることになった。
財務大臣だけでなく、税制調査会等にも働きかけて損益通算の廃止を阻止したい」と語っている。また、3月5日に国会議員で組織するゴルフ振興議員連盟(ゴ議連)の会長に就任した衛藤征士郎衆議院議員も、損益通算の廃止に反対する意向を表明しており、この問題は平成17年度の税制改正の争点の一つとなりそうな勢いだ。
なお、NGKは4月末までにこの問題に関する陳情書を財務大臣に提出する計画も進めている。
|