平成23年8月12日に、「熊本クラウンゴルフ倶楽部・(株)ビック/弁護士一任」と下記の通り弊社で掲載したが、会員11名が、預託金の返還や土地・建物と同GCの営業譲渡契約の取り消しを求めて2月25日に、さいたま地裁に提訴したことが判明した。
解体業の(株)ビック(東京都世田谷区船橋4-35-1、代表:富本大一)は8月8日事業停止、事後処理を横内淑郎弁護士(電話03-5429-4717)に一任した。負債額は約10億円。償還金次第で増加も。
(株)ビック(旧・大明建設(株)、平成20年商号変更))は昭和43年に設立され、熊本クラウンゴルフ倶楽部は同社が事業主体となりコースも施工して開場させた。会員募集は、平成2年から1500万円(預託金1350万円=10年据置、その後3分割)、800万円、500万円等で行っており、会員数は1000名弱。
同社は平成3年10月に第2弾として熊本クラウンGCオーシャンドリームコースを同じ熊本県で計画し、会員募集も110万円で行ったが、募集は難航し建設は断念し、募集した会員は深田コースに移籍させた経緯を持つ。JC-NET記事の負債額10億円には、この会員の預託金額は含まれていない。
同社としては、預託金債務を切り離して任意整理を行いたい考えのようだが、ゴルフ場の営業を継続するスポンサーを模索する動きもあるようだ。
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熊本クラウンGC URL=http://www.crowngolf.jp/
同GCの預託金返還を巡っての裁判では別件で、同GC深田コースの預託金会員権を譲り受けた取得者が、名義書換をしないで預託金の返還を求めて裁判沙汰に、東京高裁は一審のさいたま地裁の判決を覆し、預託金の返還等を会社に命じる逆転判決を下した例がある。
→ ゴルフ会員権預託金返還請求で、東京高裁は支払いを命じる判決
今回、訴えられたのは清算手続中の(株)ビック(富本清代表清算人)と深田コースを保有・経営する、あさぎり開発(株)(鈴木直吉代表取締役)。
(株)ビックは及び子会社でゴルフ場の運営・営業を行っていた(株)熊本クラウンゴルフ倶楽部は、ゴルフ場の土地建物・営業権等を23年10月1日付けであさぎり開発に譲渡し、同GCの営業から手を引いていたようだ。
・あさぎり開発(株)は法的整理から隠匿財産の保持目的に設立したダミー会社
・土地建物の売買契約や営業譲渡契約などは「詐害行為にあたる」
として、返還に応じないビック及びあさぎり開発に対して、連帯して預託金を返還するよう訴えているという。
詐害行為 とは?
借金をした人(債務者)が、無資力の状態にある時に、ある状況に置かれて、故意に自らの有する資産の財産価値を落とすような行為を行なうことをいう。無資力とは債務超過の状況を意味し、債務者の支払不能や支払停止の状況になっている必要はない。
具体的にどのような行為が詐害行為に該当するか、いくつかの事例を挙げると次のようになる。
@ 債務者が、一部の債権者と共謀して、他の債権者を害することを知りながら、返済期限を繰り上げて
行なう一部の債権者への弁済。
A 債務者が所有する財産を時価よりも安く売却すること。
B 物的担保を持たない一般債権者に対してする代物弁済は、目的物の価格の如何を問わず詐害行為
となる。
C 債務者が持っている債権を、代物弁済として、一部の債権者に譲渡すること。
D 一部の債権者の債権の担保として、債務者所有の物の上に抵当権や質権や賃借権を設定すること。
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参照記事
→ 詐害行為に関する最高裁の判決
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