安達太良観光開発(株)(福島県二本松市雄平台15、設立=昭和38年1月、渡辺 勝代表、資本金5,000万円)は2月6日、福島地裁に民事再生手続開始を申し立て、同日保全命令を受けた。
申立代理人は服部 弘志弁護士(シティ法律事務所、東京都港区虎ノ門1-13-3、TEL 03-3580-0123)。負債総額は13億円内外が見込まれている。社長は福島県ゴルフ連盟の会長を務めていたが辞任届を提出した。
当社は、安達太良カントリークラブを運営する法人で、昭和41年9月にオープンしたゴルフ場。平成3年12月期の年商9億4,700万円内外がピーク。平成23年10月末に預託金の償還期限を迎えていたが、東日本大震災と同時に発生した原発事故の影響で客足が急落。
また、今後の経営を不安視した会員からの預託金返還請求が増加、12億円あまりの預託金返還の実行が困難な見通しとなっていた。近年では、3億円台の売り上げで推移していたが、赤字決算も見られるようになっていた。
平成23年12月期決算では売り上げが2億円台まで落ち込み、原発事故の影響が大きくなっていた。現状は冬期の休業中であるが、3月からの営業再開を予定し、再生計画については7月頃までの提出を予定しているという。
しかし、特に第三者への営業譲渡等は考えていないという。会員数は1,500人内外で、原発事故発生前まではある程度あった首都圏からの客がほとんどなくなっていた。
県内のゴルフ場はいずれも同様の状況にあるが、東京電力に対する賠償金請求に対する実行が進まず、経営が厳しくなっている業者が多い。社長が会長を務めていた福島県ゴルフ連盟には10社が加盟し、そのうち8社が損害賠償請求を行っているという。
二本松市の場合、先の放射線量の高いコンクリートの問題もあって、悪い意味で話題となってしまったことも大きく影響しているものと見られるが、県内のゴルフ場については、客が半減しているところも多く、早くから東京電力に対する賠償金請求を行っている業者もあった。
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