昨年のゴルフ場の入場者数は、降雪の影響で1〜3月は10%近く減少したというものの、一昨年が暖冬で降雪も少なく異常といえるほど増加した反動。実質ては、平年並みの人数で推移した。
昨年秋から世界同時不況といわれ、経済は急速に悪化している。しかし、ゴルフ場の延べ入場者状況と経済状況にはタイムラグがある。
過去のゴルフ業界と一般企業の景気をみると、一般企業の不況突入の年から1〜2年後はゴルフ場の入場者数は増加の傾向となった。
バブル経済前後を例にとると、入場者数はバブル崩壊の平成2年よりも、平成3〜4年の方が多い。4年は1億232万人を教えた。この年間入場者致の最多記録はいまだに破られていない。
今回はどうか。過去の事例が当てはまらない可能性が高い。企業の決算状況は悪化している。加えて、一昨年末のボーナスの支給額は、前年比で減少したと報じられている(一昨年まで3年連続過去最高を記録)。
国民は不況の影響を直感しており、それが消費動向に直接反映し、ゴルファーのプレー回数減少等を招くおそれが充分ある。さらに、復活気味だった企業による接待ゴルフも先細りする可能性も高い。
このように、ゴルフ業界の環境は悪化方向にあり、今後のプレー回数やゴルフ人口が減少しかねない。それだけに、ゴルフ業界はより強固なゴルフ振興策が求められているといえる。
これまで、ゴルフ団体は共同でJGCを立ち上げ、成果も残した。また、ゴルフ場利用税の減免運動でもジュニアやシニアを非課税にするなどの成果を残している。
しかし、シニアゴルファーや女性ゴルファーに対する活動は遅れているといえる。団塊の世代がシニア世代となり、余暇をどのように過ごすかを模索している。
昨年10月にオープンした千葉市民ゴルフ場は、「お試しゴルフ体験」として主にゴルフ未経験者を対象とし、世代別・性別等4コースを設けてスクールを開催。定員は20名として募集したところ、シニア(60歳以上)の応募が百数十名で最も多かった。→関連記事
夫掃の応募もあった。ゴルフ体験企画は、ジュニアやレディスを対象にしたものが多いが、増え続けるシニア層にも焦点を当てる必要がある。
また、ゴルフ団体のレディスゴルファー対策も遅れ気味だ。東北ゴルフ連盟はレディスのクラブ対抗戦を実施しているが、他の地区連盟の動きは鈍い。
とはいうものの、関東ゴルフ連盟も今年は女子のクラブ対抗を開く方向で動いている。このような女子競技を充実させたい。また、男女を問わずクラブ日本一を決める競技も必要ではないか。
▽平成20年・主要ニュースのまとめ・ゴルフ業界の動向
▽ジュニア対策のほか、レディス・シニア対策が急務に
▽ゴルフ場は地域結束で、ゴルフ振興・エコ対策等へ
▽会員権相場は低迷続く、会員交流の活性化で需要喚起を
▽用品業界は好調のウェアを取っ掛かりに消費促す方策を、プロゴルフ界には
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