ゴルフ会員権業界や既設ゴルフ場の募集は、17年末からの盛り上がりが一頓挫した形となっている。冒頭の表にもある通り、関東ゴルフ会員権取引業協同組合が発表している関東地区のゴルフ会員権の平均相場、19年末には300・9万円となり、18年同期より1割減少した。
過去10年では平成14年の215万円が底で、18年まで4年連続の上昇だったが、5年振りの減少となった。これは日経平均株価が象徴しているように、米国の金融不安等から連鎖して投資機運が冷めているもの。
18年から増えている既設ゴルフ場の募集は、19年も一部コースで好調の報告を聞くが、既設ゴルフ場の相場が低迷しているだけに勢いは感じられない。
小金井CC(東京)は11年振りに1億円の大台に一時(9月末、12月末は9400万円)なるなど話題となったが、今の会員権の市場は、
@ 高額で”ステータス”がある、
A 立地が良く経営的に安心、
B 値ごろ感があり、勧誘や広報活動が積極的で安心(又は仲間が多い)、
・・・・なところしか動いていない。
高額コースの年会費値上げが相次いでいるが、今後も上記3要素を伴わないコースは市場から敬遠される。
新規募集でも預託金のないプレー会員権で低額募集しているコースは低額な分、プレー料金との比較となり、会員権の購入に結びついでいない。会員権の購入者はビジターとの差別化を求めている。ネットで安く簡単に予約を取れるのなら会員権を購入する意味がない。
募集中のコースでBの成功パターンを狙うには、予約システムも含めて会員を納得させる説明ができるかどうかにかかっている。
会員権そのものヘの不安感が拭えていないのは既設ゴルフ場の動向にもある。
ゴルフ場の法的整理は19年12月下旬段階で41件、既設ゴルフ場数は48コースとなり、前年同期より3件、11コース減少し、着実に減少しているが沈静化したわけではない。
数年前に法的整理した企業の2次倒産や、競売や水面下での経営交代などもあり、手放しに信用できない面が残っている。
出資者が不明のファンドなど母体企業の説明が出来なかったりするゴルフ場は報道する側も戸惑うばかりだ。説明責任云々ではないが、ゴルフ場、会員権業者とも広報活動、情報公開を積極的に行ってもらいたい。
■国内経済は低成長続く見込みもゴルフ界は期待膨らむ、政府GDP見通しは
■未経験者にゴルフデビューの舞台作りの推進を
■現実的な課題克服には他企業との提携等も視野に
■会員権相場は低迷気味も募集増加、安易な募集は不調か
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