ゴルフ場経営大手の(株)太平洋クラブと上場企業の東急不動産(株)の両社は、ゴルフ場運営等に関する戦略的事業提携を行うと3月23日に発表したが、このほど太平洋クラブの治郎丸社長は本紙のインタビューに答え、提携に至った経緯や背景、提携の進歩状況、将来展望などを語った。
両社の提携は既報通り、
@ 会員相互の平日限定の優待利用
A 機材・資材・営業消耗品などの共同購入
B 人材交流や運営ノウハウの共有
・・・・などで、従来のゴルフ場企業間の提携から見ると、かなり踏み込んだ内容になっている。
治郎丸社長は、ゴルフ場業界を取り巻く環境について、「現在は、まだ団塊の世代がゴルファーとして業界を支えている面もあるが、近い将来を展望すれば少子化や高齢化などで、パイは縮小し業界も縮小する方向にある」と厳しく分析した。
その上で、「ゴルフ場経営の新しいビジネスモデルを導入した外国勢の台頭で、国内勢は劣勢になっている。遅れを取ってはいるが、他業種同様にゴルフ場業界も構造改革の必要性を感じ、その対応策として事業提携となった」と語る。
そのパートナーとして、「昨年春に東急不動産に巡り会った。ゴルフ場数などの事業規模や目的などがほぼ同じで、会員へハイクオリティなサービスを提携していく姿勢などでも多くの共通性があることが分かり、昨年秋から東急不動産と、外国勢と一線を画した会員重視のビジネスモデル作りを本格的に取り組んできた」という。
具体的な提携内容については、太平洋クラブに事務局を置き、各種チームを設けて両社の情報を共有して検討するとしており、最優先となる会員のゴルフ場相互利用については、「その詳細を5月の早い時期に発表し、7月から利用できる状態にしたい。また、相互乗り入れのコンペ企画などの開催も検討していきたい」という。
共同購入に関しては、「機材等の価格や性能等のデータを持ち合って検討していく。但し、それぞれの地域に合った資材・機材もあるので、同一製品を一括購入するかどうかは検討課だ。メンテナンス等の面も含め担当チームが検討を加えることになる」と説明している。
コース管理機器等はその地域のゴルフ場で共同利用するなど、コスト削減を図る計画もあるという。
人材交流の面に関しては、4月に入って東急不動産グループから(株)太平洋クラブの代表取締役会長として長谷川勤氏((株)東急リゾートサービス常務取締役)が就任。この他に提携促進等を図るため、東急側から担当者2名が太平洋クラブに出向している。
その会長と治郎丸代表取締役社長の権限分担については、「従来通り、経営全般について私の責任で遂行する。但し、経営の最重要課題については会長と相談して決めていく」と語った。
一部の新聞で”事業統合”と報じられた件に関しては、「ゴルフ場事業の基盤を確実にするためには先行き様々な選択肢があるので、(統合については)現時点では何ともいえない。いずれにしろ、事業提携の効果が上がるように、最善の努力を尽くす」と語った。
また、(株)太平洋クラブの全株式を所有する持株会社となった太平洋ホールディングス合同会社については、「資金力の増強で設立した。東急不動産やエヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(株)等からの資金協力で、事業の安定化と拡大を目指している」と説明している。
国内勢の両社が、将来のゴルフ場事業の展開に向けて新しいビジネスモデルに挑戦しているわけで、その動向が注目される。
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