昭和63年開場の「ウィングフィールドゴルフ倶楽部」(18H、栃木県今市市千本木字上の山877-1)は、旧経営会社の特別精算協定認可により、10年ほど前に経営が(株)日光石亭に移行していたが、旧経営会社が一昨年破産したことにより、協定認可の効力そのものが今になって”失効”し、破産処理されることが明らかになった。(平成17年12月末頃)
旧経営会社は(株)サザレコーポレーション(旧・石亭開発、羽根田公男代表清算人、以下サザレと略)。同社はバブル時の不動産開発等の失敗で、平成7年3月にゴルフ場を(株)日光石亭に営業譲渡する一方、会員には
@ 預託金は全額新会社が継承し、預託金の返還は据置期間終了後10年分割で応じる、
A 将来、会員の追加募集を行う、
・・・・等の協定案を提示した。
その上で、7年11月末に東京地裁へ特別精算開始の申立を行い、翌8年3月に特別精算の認可が確定した。当時の負債額は約1066億円で大口債権者の金融機関には大幅カットを求めたが、会員を含む4000万円以下の債権は全額保証していた。
しかし、サザレは特別精算協定の実行見込みがない、債務超過であること等を理由に平成16年10月18日付けで東京地裁から破産宣告をくだされ、その後1年ほど経過して、先ごろ破産管財人から会員に文書が通知された。
管財人(伯母治之弁護士、TEL03-5211-2222=シグマ麹町法律事務所)の通知では、慎重に検討を重ねた結果として「法の趣旨に照らせば、破産の宣告がなされた場合には、特別精算の協定の効力が失われ、移転した会員の皆様に対する預託金返還債務については、サザレが負担することになるとの結論に達した」としている。
債権者集会は1月23日に東京地裁で開く予定だが、配当見込みが無く破産手続きが廃止になる可能性が高いとして、現時点では破産債権の届出をする必要はないと案内している。
また、会員の預託金債務は日光石亭が負担するものではないとしたが、10年近くの年月が経過していること、多数の会員がいること等から、ゴルフ場の営業権を新会社に移転することで、会員の施設利用権を確保する方針という。
一方、(株)日光石亭(堀越修一社長、東京都新宿区)からも対象会員宛に通知があり、ゴルフ場は営業譲渡先が決定するまで同社で運営するなど管財人の方針に従うという。なお、日光石亭が200万円や250万円で行った追加募集は約200名にとどまり、予定の1000名には達しなかった。
これら追加会員は破産対象とならないが、日光石亭も新経営決定後は清算する方向にあるため、新経営側に追加会員もプレー権継承を求める方針。現会員数はこれら追加会員含め約1500名という。
約10年前の特別精算協定が失効となった異例の事態。2次的な法的整理となるが、10年経過後も預託金弁済資金は準備できなかったようだ。近々にもゴルフ場の営業譲渡先が決まる予定。会員側にも守る会結成などの動きがある。
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