プレー会員権を発行するゴルフ場、100コースを突破

　バブル経済の崩壊に伴い、預託金会員権は”預託金の償還”という問題を抱えることになり、預託金制度の見直しが行われている。その一環で、無額面（預託金ゼロ）で第三者に譲渡可能のいわゆる”プレー会員権”を発行するゴルフ場が増加し、平成17年の11月時点で100コースを超えていることが、本紙の調べで分かった。→県別ゴルフ場参照

　本紙がこれまで報道してきたプレー会員権の導入ゴルフ場を集計したもので、その結果122コースになった。全国ゴルフ場の5％以上が何らかの形でプレー会員権を保有する会員が在籍していることになる。

　122コースを分析すると、在籍する会員が「プレー会員権所有者のみ」のゴルフ場が92コースで、「プレー会員権と預託金会員権の併用」が30コースとなっている。

　プレー会員権の導入は、募集ではなく「法的整理や競売、経営交代などで預託金がゼロになり、継続会員などに対して無償（低額の手数料徴収を含む）でプレー会員権を発行したゴルフ場」がほとんどで103コース、「募集（法的整理などの後で、募集金額並み手数料徴収を含む）」は19コースに過ぎなかった。

　導入の起因を分析すると、圧倒的に多いのが民事再生法・破産などの法的整理で、計91コース。その中でも再生法が起因となったのは60コースで全体のほぼ半分を占める。以下、破産が15コース、会社更生法が11コース、特別精算が5コースとなる。その他に産業再生法に関連しプレー会員権を導入したゴルフ場が1コース（ゴールド佐野ＣＣ）ある。

　注目されるのは、破産が起因となりプレー会員権を導入したゴルフ場が多いことだ。破産後にプレー会員権を募集したゴルフ場も5コースあるが、残り10コースは無償でプレー会員権を旧会員に発行している。

　ゴルフ場経営会社の破産後に、その経営するゴルフ場を買収した新経営会社は、法的には旧会員を引き継がなくともよいが、

　　�@現在の募集環境では入会者がほとんど見込めないこと、

　　�A会員が来場者のベースとなり、集客にも貢献すること

　・・・・などから経営戦略上で、旧会員を会員として処遇することになったといえる。

　ところで、現時点で名義書換を受け入れているか否かを調査してみると、122コース中過半数の64コースが書換を受け入れている。今年12月1日に名変開始を予定している4コースを加えると68コースになる。また、プレー会員権を発行してから名変を開始するまでの期間が、わずか3ヶ月と早いケースもあった。

　ちなみに、プレー会員権の法的立場は微妙（法的整理になった時に、債権者として正式に認められたことは現在のところゼロ）だが、預託金会員権とプレー会員権の併用制で民事再生法を申請した、東雲ＧＣ（栃木）、沼津ＧＣ（静岡）の場合は、再生条件でプレー会員権の権利を何らカット（制限）せず法的整理前の権利・義務をそのまま踏襲している。

　プレー会員権の会員のみが在籍し、民事再生法を申請したラングスＧコース秋田も、そのプレー権に何の制限も加えなかった。

　いずれにしろ、法的整理でプレー会員権に移行するゴルフ場はこれからも出現しよう。また表には含めなかったが、成立した再生計画案に基づき、預託金が順次減額され将来はプレー会員権になるケース（会津磐梯ＣＣ、高富ＧＣ）や、募集時の契約に基づき預託金が逓減されるグランディ浜名湖ＧＣ等プレー会員権予備軍も登場している。

　なお、プレー会員権の法的位置付けについては、姉妹誌の「月刊ゴルフマネジメント」の平成18年1月号（17年12月15日発売）で西村國彦弁護士が解説している。