賃貸借契約を結んで、所有している用地をゴルフ場企業に賃貸していた地主が、”借地権を無断譲渡した”等を理由に、賃貸借契約の解除等を求めた事件で、千葉地裁は1月18日に地主の主張を認める判決を下した。
訴えていたのは君津GC(現・ロイヤルスターGC)の地主3名で、訴えられたのは同ゴルフ場を経営し平成11年10月に破産した(株)君津ゴルフクラブと、破産前の10年10月に(株)君津GCと売買契約を結び13年まで同ゴルフ場を経営していたケイ・ジー・シー。
また、現在同ゴルフ場を経営している(株)スポーツトラストは、地主3名を相手に訴えを起こしており、同時に審理された。
判決文によると、同ゴルフ場の会員でもあった地主側は、平成12年に同ゴルフ場用地の一部、計約5000平方メートルの所有権を取得して、賃貸借契約における地主の地位を承継した。
地主側は、賃料の不払いや賃借権の無断譲渡があることなどから、”賃貸借契約は終了した”として、賃貸借契約の解除や賃借権設定登記等の抹消手続きを求め争いとなった。
賃借権の譲渡については、”第三者に賃借権を譲渡、転貸する場合には地主の承諾を要する”との約定がある。それにもかかわらず、(株)君津GCは無断でケイ・ジー・シーと売買契約を結んだので契約は終了したと地主側は主張。
一方、(株)君津GC管財人は「訴えの利益がない」、「借地借家法の適用ある借地権と同視すべき」、「賃料の不払いは現在ほとんど無い」とし、ケイ・ジー・シーは「営業妨害を目的に土地を購入した」などと主張した。また、スポーツトラストは「地主側は権利を乱用しているので許されない」などと主張した。
しかし、裁判所は「用地はコースの一部にかかわるもので、借地借家法の適用ある借地権とはいえない」「ケイ・ジー・シーへの譲渡については、特段の事情がない限り地主の承諾が必要」、「営業妨害で土地を購入したとしても、ケイ・ジー・シーへ無断譲渡したのは明らか」、「スポーツトラストは賃借権について係争中であることを知りながら競落している」などとして、地主側の主張を採用した判決を下した。
同ゴルフ場を巡っては、経営が二転三転し、会員組織の「守る会」が結成されるなど複雑な背景もあり、判決文にもその間の事情が一部述べられている。
いずれにしろ、ゴルフ場の借地問題の争いは、これまでと同様に地主に有利な判決になった。 |