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年末特別企画・平成21年、本紙が報道したゴルフ界の主要ニュース |
ゴルフ特信より、平成21年12月28日 |
日本経済は、昨年9月15日のリーマンショックの影響による世界同時不況がいまだ尾を引き、低迷している。
ゴルフ界のこの1年はどうだったか。ゴルフ界は入場者数をほぼ維持していることから、他業界の関係者はその一点を突いて”羨ましい”という。しかし、実態はゴルフ特信5000号記念の特別企画で報じた、ゴルフ場企業245社決算にあるように、21年は減収減益が進んでいることが明らかになっている。
この様な状況下にあるゴルフ界が、生き残りをかけて将来展望を切り拓く方法はないのか。本紙が今年1年のゴルフ界を報じた主要ニュースやデータを検証し、未来のゴルフ界を創造するヒントを探し出したい。
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不況に揉まれるも平成21年の入場者数は前年並みの様相 |
ゴルフ場の利用者が減れば、ゴルフ界は迷走する。国民の所得が伸び悩み、あるいは下落しても今年の入場者数はほぼ前年並みか若干増の様相だ。
高速道路料金1000円の効果はあまりなかったが、各ゴルフ場の生き残りをかけた営業や企画、早朝・薄暮の利用者増などで、現在の入場者数を維持している。反面、早朝・薄暮の格安プレー料金もあり、客単価は伸び悩みどころか下落している。動態統計の今年上半期の客単価は前年同期比で3・1%減、2大外資系ゴルフ場企業の月次でも客単価は下落している。
ちなみに、今年1〜9月までの全国の入場者動向をみると、1〜3月は天候に恵まれたこともあり中部地区4・90%増、関西地区3・83%増、中国地区1・73%増、東京地区0・93%増だったが、九州地区は7・13%減、四国地区は2・69%減と奮わない。
1〜6月は、関西地区2・32%増、中部地区1・28%増、中国地区1・15%増、東京地区0・19%増、四国地区0・09%減、九州地区2・05%減で、雪解けが遅かった北海道地区は5・07%減となった。なお、本紙調べによると首都圏は2・88%増だった。
1〜9月は関西地区3・13%増、中部地区1・47%増、中国地区0・90%増、四国地区は盛り返して0・72%増、東京地区0・00%減で、九州地区は健闘し0・68%の減少に止まった。
北海道も健闘し4・03%減だった。判明する各地区の11月までの入場者数からみるとぼほ前年並みで今年は終わりそうだ。
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ジュニアやシニアよリ、女性がターゲットの1年に |
女性ゴルファーが注目された1年だった。既に女子プロツアーの試合数やギャラリー数は以前から男子のそれを上回っている。今年の女子プロツアーは34試合で男子より10試合多く、ギャラリー数も59万8194人で約1万人多い。女子は宮里藍プロの出現から注目され、今年は横峯さくらプロ等の若手が活躍し盛り上がった。
これに触発されてか、女牲をターゲットにしたゴルフ場の集客対策が注目されている。グレースリッジCCは男性3人と女性1人でラウンドする”ハーレムプラン”等を企画して、女性客に(男性客も?)喜ばれている。
ゴルコンもノースハンプ卜ンGC、三セクのもおか鬼怒公園GC、PGMのイーグルレイクGCなどが開催した。またプレー企画ばかりでなく三田GCは10万円で2年間有効の女性会員募集、高坂CCでは1000万円で女性会員の募集を継続、秦野CCは名変料割引の女性入会キャンペーンという具合だ。
さらに、PGMは女性向けサイ卜を開設、アコーディアは女性向けサイトを充実して用品をネットで販売している。
このようなことから、姉妹誌の月刊ゴルフマネジメントの調査では、過半数のゴルフ場が「女性の来場者が増加した」と回答している。中には10%増の回答もあった。
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地域のG場の共同企画や公的機関を巻込む企画も続々 |
女性集客対策はかりでなく、ライバル関係にある長崎県の2コースは共同でプレーチケットを販売するなどし、ゴルファーの囲込みを狙う。
外資大手2社は以前から各種のゴルファー囲込み対策を行っているが、PGMはそれを拡充して地域共通友の会を発足、OGMも地域別の複数ゴルフ場共通スタンプラリーを開始、リソルもポイントカードを発行するなど、囲込みは過熱している。
一方で、自治体や観光協会を活用した集客対策も目立った。昨年からだが栃木県の日光市は観光振興課が市内ゴルフ場のスタンプラリーに協力、秋田県は男女出会いのサイトで前述のノースハンプトンCCのゴルコンを無料でPR、千葉県市原市の観光協会はゴルフスタンプラリーを主催し、賞品も協会持ち、兵庫県の宝塚市教育委員会はスポーツニッポンCCの市民開放デーを後援などとなっている。
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ゴルフ団体はかりでなく、各G場も環境問題に取組む |
世界的な規模で環境問題を議論し活動を開始しているが、ゴルフ場も積極的に活動を開始した。
OGMの系列ゴルフ場は珊瑚移植事業に協力するため、エコキャップの他にロス卜ポール回収などを行っている。美濃白川GCでは廃天ぷら油を回収しモアの燃料に、佐久平CCは太陽光発電システムの導入を検討、大相模CCはCO2削減で剪定枝等をチップ化し事業化を目指す。
ゴルフ団体では、沖縄県の支配人会がエコキャップ運動を開始した他に、加盟全ゴルフ場の支配人がチーム・マイナス6%賛同、GGGはゴルフ場の生物多様性を調査、経営者団体のNGKが省エネで大和エネルギーの装置を推奨している。
一方、自治体では、東京都がエアコン等の省エネ機器導入を税金面で優遇して支援。国は、廃天ぷら油・生ゴミ処理を排出権にし売買可に、余剰電力を電力会社が買い取る措置を設けるなどの政策を進めている。もっとも、国の政策は大掛かりなだけに、ゴルフ場がその恩恵を受けるのは難しい。
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ゴルフ界は昭和からの決別、未来の五輪には期待 |
政権は昭和時代から連綿と続いた自民党主導から民主党となった。ゴルフ界も昭和から決別した様相で、平成の時代になりつつある。
プ口では、賞金王となった石川遼プロは平成の生まれだ。ゴルフ場経営会社も平成設立のPGMやアコーディアが躍進を遂げている。そんな中で、昭和時代に急拡大を遂げた大手ゴルフ場会社の日東興業(株)社名を(株)アコーディアAH11、同じくスポーツ振興(株)は(株)アコーディアAH12となった。
また、老舗の準大手専業ゴルフ場企業の安達事業グループは6コースを売却、朝日観光グループは3コースを売却して勢力を半減以下ないし半減している。
昭和時期に発足した社団法人制ゴルフ場(茨木CCのみ大正時代)も平成25年までには、民間企業並み一般社団法人に衣替えとなりそうな雲行きだ。預託金会員権からプレー会員権ヘの移行も加速している。
一方で、未来の平成28年にリオデジャネイロで開かれるオリンピックの競技に「ゴルフ」が採用されることが決まり、ゴルフ団体は歓迎のコメントを発表した。
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建設中G場、会員権は活況なし、経営交代は微減 |
今年新規オープンは前年比2コース減の2コースに止まった。ブリストルヒルGCとパプリックのクイーンズトラップだ。ブリス
トルヒルの会員は、フェアウェイフロントの宅地の購入者(数千万円から3億円等で販売)という異色の方法を取り注目されているが不況下から販売は伸び悩んでいる。
開発費を募集資金で回収できないことから全国建設中の50コースのゴルフ場(他に認可未着工29コース)で工事を進めているのは2コースに過ぎない。
今から26年後には900コースが余剰となるとの発表もあった。従って会員募集や会員権相場も低迷し、関東ではバブル崩壊後最安値も記録した(最安値は3月12日の192・5万円)。このようなことから、現段階のゴルフ場の経営交代は73コース(速報値)で、前年より196コース減少している。
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法的整理も減少、支援金を支払わないスポンサーも |
本紙の調べによると、今年(12月24日現在)のゴルフ場の法的整理件数は25件(既設ゴルフ場27コース)で、前年比5件減(5コース減)となり、負債総額は2932億円で前年比1017億円の減となった。
スポンサーの逃亡もあった。東千葉CCは再生法が可決し再生計画認可決定となったものの、支援金を支払わなかったため更正法に移行、ミッションヒルズCCも再生手続廃止となった。
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