弊社にもゴルフ会員権の預託金(返還請求)に関する問い合わせが数多く寄せられ、『 ゴルフ会員権の預託金返還問題/返還請求/どうすれば返るのか? 』(参考までにお読み下さい)なるページを作成して対応してきたが、結果的に返還請求の裁判を起こしても、勝訴はするものの全額返還に至ったケースは数少ないようである。
以下、大阪高裁(横田勝年裁判長)が平成20年2月28日に下した「損害賠償債権確定請求事件」の判決を紹介する(尚、この事件は「仮執行宣言付」(大阪地裁)で会員が勝訴している)。
新潟県にある越後GC道光高原コース(18H、新潟)の経営会社・三セクの奥只見道光高原リゾート(株)の会員が、預託金返還訴訟で勝訴し、強制執行で預託金の回収を目指した後に同CCが民事再生法を申請したため預託金を回収できなくなり、新たにゴルフ場会社を訴えた事件である。
→平成18年1月13日、越後GC道光高原C経営・奥只見道光高原リゾート(株)が再生法を申請
経緯は、
・大阪地裁で預託金返還訴訟を起こし、仮執行宣言付きで勝訴、
・判決に基づき債権差押及び転付命令(150万円分)を得て強制執行に入る、
・ゴルフ場側は地裁判決を不服として控訴、平成17年11月9日に同地裁から強制執行停止決定、
・18年1月13日にゴルフ場側は民事再生法の適用を申請、同月20日に再生手続開始決定、
・18年5年5月29日、再生計画案(弁済率2%)が確定、
会員の主張(強制執行停止決定で損害を受けた)は、
・他の債権者(預託金債権者含む)に先だって弁済を受けられる、
・預託金返還訴訟で控訴しているが勝訴する見込みがないことを知っていた、
(H17年12月16日に預託金据置期間延長の理事会決議は無効の最高裁判決がでているので)
・・・・等として計221万円余の支払いを求めた。
ゴルフ場側の主張は、
・強制執行の停止についで故意又は過失のあることは必要でない、
・会員の請求権は、再生計画の確定により失権している、
裁判所は、
・強制執行の停止について故意又は過失があれば損害があるとした上で、
・強制執行で回収できるはずの額を、再生手続きによる回収しかできないことをゴルフ場側は
認識していたと認定、ゴルフ場側に少なくとも未必的な故意がある」と判断、
・失権に関し、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利(民訴法405条2項77条)を有している、
・・・・とし、ゴルフ場側の主張を退けたが、見込額については認めず、計146万円余の支払いをゴルフ場側に命じた。尚、一審の大阪地裁は、会員の主張を全面的に認め、見込額を含めた計221万円余の支払いをゴルフ場側に命じている。
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