昭和63年開場の利根ゴルフ倶楽部を経営する(株)利根ゴルフ倶楽部(大矢宏社長、東京都中央区)は、(株)霞南ゴルフ倶楽部(山根忍代表取締役)と運営委託契約を締結して、平成18年7月1日からゴルフ場名も「霞南(かなん)ゴルフ倶楽部」(18H、茨城県稲敷市伊佐郡1450、TEL0299-79-1313)に変更した。
同社の大矢宏社長が会員に宛てた通知によると、同社はバブル時代における運営体質を改善するため、平成10年に(株)ティー・ジー・シーに運営委託し、会員のプレー権を維持する体制を確保。
しかし、経済不況の影響と近隣の外資系ゴルフ場の低料金競争に巻き込まれ、運営を委託したティー・ジー・シーも大変苦戦していたという。このような状況の中、同ゴルフ場のコンセプトを継承することを前提に、検討を重ねた結果、ティー・ジー・シーに代わる運営委託先として、(株)霞南ゴルフ倶楽部に決定したという。
これは運営に関する業務委託として、会員から預かっている預託金の返還債務は従来通り、(株)利根ゴルフ倶楽部にあるとしている。
また、(株)霞南ゴルフ倶楽部の山根忍代表も7月1日から運営を開始すると通知。(株)利根ゴルフ倶楽部から会員に対する優先的定額設備利用を保証することを前提として、運営受託契約を締結したという。
会員については(株)利根ゴルフ倶楽部の会員規約に基づき、従来同様のクラブライフを楽しめると案内。また(株)利根ゴルフ倶楽部の取り巻く環境を鑑み、今回の運営受託を機に、ゴルフ場名を変更することになったという。同社としては、過去に蓄積したゴルフ場運営ノウハウを生かし、運営したいと説明している。
なお、今回の運営会社変更でゴルフ場従業員は新会社に移籍し、支配人は7月1日付けで井出直氏に代わり、新会社から若林豊氏が就任した。
井出支配人は「利根GCが法的整理することなく、バージョンアップしたコースを目指す」と説明、新会社でリニューアルなど資金の投入も予定されているという。
利根GCの運営会社は既報通り、商号の続用使用を理由に平成15年に東京高裁から預託金の返還命令を受けたことも、今回の名称変更事由にあるようだ。
平成15年に東京高裁判決の概要 ゴルフダイジェスト社参照
掲載URL=http://www.golfdigest.co.jp/digest/column/back9/2003/20030325e.asp
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通常、新会社に業務を移管しているのに、コース名を変えていない、そして業務を移管していることを債権者である会員に告知していない場合、外から見たゴルフ場の経営に変化はないのだから、部外者は新会社と旧会社を混同してしまう。商法26条1項では“営業を譲り受けた人や法人は、前商号をそのまま使い続けた場合、営業に付帯する負債に対する責任も負う”と規定しているので、この条文を類推適用して、新会社にも預託金返還義務がある、と判断しているのが今回の判決だ。
舞台になったのは利根ゴルフ倶楽部(茨城)。同GCでは(株)利根ゴルフ倶楽部名義で預託金を預かっているが、平成11年3月から(株)ティー・ジー・シー(以下・TGC)という会社に業務を委託している。(株)利根ゴルフ倶楽部を相手に起こした預託金返還請求訴訟に勝っても、債務超過の同社には返還能力はないと判断した会員が業務委託先のTGCを訴えていた。1審で負けた会員が高裁に控訴、今回逆転勝訴となったわけだ。
勝訴の決め手になったのは、業務委託と言いながら、実際は営業譲渡だと認定されたこと。今回のケースでは、会員から預託金の返還請求訴訟が起こされている最中に旧会社がやっていた業務をまるごとそっくりTGCに移している。それは単に業務を委託している、というレベルではなく、完全に営業そのものを譲り渡しているのと同じ。ところが理事会組織も、従業員も、会員に発行される領収書の表示もすべて以前と同じ。だから外から見たゴルフ場の経営に変化はないので前出の商法26条1項を類推適用できる、というわけだ。
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ちなみに、(株)霞南ゴルフ倶楽部は平成18年5月24日設立で資本金300万円、本店所在地は「東京都港区赤坂9-5-15」。業界関係者によると同社関係者は最近、栃木県でゴルフ場売買や営業等に関わった経緯もあるようだ。
↓↓↓ 平成25年7月10日追加
平成25年7月5日、霞南GCを経営の(株)霞南ゴルフ倶楽部が破産手続き開始決定を受ける
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