母体会社の再生計画により、親会社と分離して再建を目指していた「甲斐駒カントリークラブ」(18H、山梨県北杜市武川町黒沢2149-8、TEL0551-26-3331)の不動産の大半を、支配人が設立した新会社が競売で落札したことが分かった。新会社のもとで再建を目指すという。
同CC経営の(株)甲斐駒カントリークラブ(森山慶雄代表取締役、篠原芳英支配人)が会員宛に通知したもの。同社はゴルフ場不動産の大部分を所有していたが、そのほとんどの部分に抵当権が設定されていた。
その抵当権者のうち、ムーア・エス・ブイ・ピーエルシーが競売の申立てを行い、平成16年11月5日に甲府地裁から競売開始決定が下された。
そこで今年5月17日に篠原支配人設立の新会社が落札し、同24日に売却認可決定になったとしている。
新会社は有限会社カイコマCC(資本金300万円、篠原取締役、本社=コース、平成17年11月15日設立)で今後、(株)甲斐駒CCから営業権の譲渡を受け、同CCを経営していく方針という。
このため(株)甲斐駒CCと会員との契約関係は終了することとなるが、以前と変わらないプレーが可能になるとしている。
具体的には新「甲斐駒カントリークラブ」の会員になることを希望する場合は、本年度分の年会費を完納後、新会社と新会員利用契約を締結する。今年7月中旬には競売物件の登記も終了する見込みという。
同CCの以前の母体会社の極東ノート(株)(大阪府吹田市)は、バブル崩壊で経営に行き詰まり平成5年9月に会社更生法を申請、9年2月に更正計画案が成立した。
しかし、弁済計画の見直しで更生手続きを廃止、14年5月に再生法を申請し、同年12月20日に再生計画の認可決定を受けた。
再生計画は、ゴルフ場事業とノート事業を分離する方針で、事業別に極東ノートの子会社2社(ノート事業は(株)キョクトウ・アソシエイツ、ゴルフ場事業は(株)甲斐駒CC)に15年5月20日付けで営業譲渡していた。
会員には預託金の5%を弁済(継続会員は5%を新預託金に)、その後ゴルフ場は任意売却でスポンサーを探す方針としていたが、抵当権との交渉が不調でゴルフ場不動産の競売を申し立てられていたという。
篠原支配人は「平成5年から14年間かかってやっと落ち着くことができる。今回の計画はこれまで会員にも説明し、賛同して頂いた。会員の預託金(5%)も新会社が引き受けるなど、何ら変わることがない」と話している。
ちなみに、競売での売却基準価額は2億3900万円。篠原支配人によると、競売対象の不動産は全体の8割であるため、第三者は入札がないと見込み、特別売却での価額が想定される2割落ち(1億8400万円相当)で入札。
結果、入札は同社だけだったので落札が決まったという。買収資金は銀行借入で賄ったが、営業収益等で返済可能と見込んだ模様だ。
今後、正式に経営が移るには営業権の買い取り等の手続きで2、3ヶ月かかる見込みとしている。なお、現在の同CCの会員数は週日・平日会員含め約2300名(内正会員数は1620名)という。
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