大分地裁杵築支部が平成18年5月29日、昭和5年に開場した歴史のある別府ゴルフ倶楽部(36H、大分県杵築市山香町上区)の不動産に対して競売開始決定を下したことが、このほど明らかになった。
裁判所の決定文によると、事件番号は「平成18年(ケ)第20号」で、申し立てたのはPG(PGGIH)グループのパシフィックゴルフプロパティーズ(株)(PGP、草深多計志代表)。
同事件の相手方当事者は債務者兼所有者の島崎観光(株)(中島茂人代表)と所有者(一部)の(株)別府カンツリー倶楽部(山田尚司代表)となっている。このまま推移すると売却基準価額等が決まり、入札が行われることになる。
島崎観光開発(株)は創業者の島崎悦吉氏が昭和34年に設立し、ピーク時には吸収合併した別府GCをはじめ、阿蘇GC赤水コース(昭和41年開場、27H、熊本県)、九州CC春日原G場(昭和34年開場、18Hも昨年8月から9H営業に、福岡県)の既設3コースの他に、開発許可認定を取得した東別府GC(18H計画、大分県)を傘下に収めていた。
しかし、ゴルフ場開発計画の失敗等もあり経営が逼迫して債権債務の整理に入り、既報通り、阿蘇GCと九州CCを平成16年までに手放している。今回の競売が実行されて競落されると、同社の既設ゴルフ場は完全に消滅することになる。
競売開始が決定した別府GCの不動産は、約270万平方メートルのゴルフ場用地と平成5年に増設9ホールとともに完成したクラブハウス(約4500坪)、ホテル(41室、定員61名)。当時は工事費(約80億円)等の捻出のため1600万円で会員募集も行っていた。現会員数は約1100名。
ちなみに、同GCの不動産は福岡シティ銀行等が担保権を設定し、九州債権回収を経てPGPが担保権を確保した。PGPは、島崎観光開発(株)と交渉して経営権を取得し再建する計画だったようだが、同ゴルフ場の運営を行っている(株)別府CCを含め協力者が得られず競売の申立になったようだ。
PGPは本紙の取材に対して「ゴルフ場の再建を目指したが、全ての問題をクリアするには競売しかなかった。入札が開始されれば、PGグループで競落する考えだ。競落後に、会員のプレー権や従業員の処遇などの問題が新たに浮上する。
預託金については不明な点が多く、方針が定まらないが、プレー権は保障し、従業員は再雇用する」と説明している。
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