経営を圧迫している固定資産税の問題に取り組んでいた東京の八王子市にある5ゴルフ場の内4ゴルフ場が、固定資産税評価替え(3年に1度)に当たる今年度から固定資産税が大幅に減税されることになった。
東京都ゴルフ場協会(17社、18ゴルフ場加盟)が平成16年度から提起した問題で、同税が市町村税であることから、税務当局との具体的な折衝は各市(区の場合は都)に所在するゴルフ場が行っていた。協会としては、市に提出する「固定資産税の適正化に関する陳情書」と題した統一の陳情書を作成し、加盟全ゴルフ場が関係各市に提出した。
陳情書では”地価下落による固定資産税評価額の減少にも関わらず、課税標準額が減少しないため大半のゴルフ場で課税標準額が横這い”、”来場者減と利用料金の低額化で、経営コストに占める固定資産税額の割合は年々上昇”、”健康増進の一翼を担えるゴルフ場産業の弊害となり、国益を損なう・・・・などと述べて固定資産税を適正額まで削減するように求めた。
具体的には、土地の評価方式を問題視、”宅地比準方式により課税するのは不合理”として”(基本的には)山林比準方式”に変更するように求めた。
八王子の5ゴルフ場は、この陳情書の他に独自の「検討要望書」を作成して、16年12月16日に八王子市長に陳情。要望書ではゴルフ場経営の危機的な現状を説明した上で、5ゴルフ場(八王子CC、GMG八王子G場、相武CC、武蔵野GC、府中CC)の内、府中を除く4ゴルフ場は「市街化調整区域」にあり、周辺の大半は宅地化していないと報告。
調整区域での宅地化等は極めて厳しいことから、現況の宅地比準方式による評価は合理性に欠けるとして、山林比準方式でゴルフ場の固定資産税を評価するように求めた。
また、市が山林比準方式を採用しない場合を考慮して、「山林に関わる平均的宅造費8330円/u程度」を大幅に超える(実勢価額は約1万2000円と主張)と述べて、宅造費を高く設定するように求めた(高くなるほど税額は縮小される)。
陳情や粘り強い活動で、八王子市はは今回の評価替え時に4ゴルフ場の比準方式を山林比準方式にした。これにより、山林比準方式となった八王子CCは、加えてコース用地の内の23%が”山林”と評価された(従来は約19%)。
このような評価替えで、同CCの固定資産税額は18年度から4535万円余になった。前年度の6791万円余(ピーク時は約1億3000万円)と比べると2253万円余の減額になったという。
ちなみに、東京都の別の市にある宅地比準方式のゴルフ場は山林比準方式に変更できなかったものの、宅造費見直しの主張を市が認めて、固定資産税が減額された。
この固定資産税問題に取り組んだ八王子CCの大石順一総支配人は「今回の成果が周辺の市に、さらに全国の市町村に波及して固定資産評価の見直しが行われることを期待している。ただ、評価替えの年度に活動しても効果は上がらない。その前から準備・活動を行うべきだ」と語っている。
宅地比準方式で固定資産評価を受けているゴルフ場にとっては、大いに参考になる取り組みといえる。なお、今回の取り組みについては、姉妹誌の「月刊ゴルフマネジメント」が7月号で詳細に報じる予定。
|