会員募集で「虚偽の宣伝を行った」(改正前の商法266条の31項適用)とし、更に平成5年に施工された適正化法(ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律)の定める書面も提示しなかったとして、
入会した会員が運営会社の取締役と、運営会社の親会社に損害賠償を求めた事件で、東京高裁第14民事部(西田美昭裁判長)は東京地裁の判決を支持し、平成18年8月31日に会員の訴えを棄却する判決を下した。
訴えたのは、木更津GC(18H、千葉県)が平成7年に行ったクラブハウス新築記念の第2次募集(入会金103万円、預託金850万円)で入会した法人会員2社で、訴えられたのは同GCの運営会社・(株)木更津ゴルフ倶楽部(以下=KGC)の取締役2名と、運営会社の親会社・(株)日本経済新聞社)以下=日経とも表記、当時KGCに日経グループで70%出資)。
ちなみに、同GCの施設保有及び会員権発行会社(預託先)で、事実上募集を行ったのは地主一族が株主の内房産業(株)(当時KGCに30%出資)。
判決文によると、会員側は「(日経に掲載された募集広告は”日本経済新聞グループ 木更津ゴルフクラブ”と記載しているので)KGCは、あたかも日経の子会社であるKGCが預託先であるかのように宣伝・勧誘し、誤信させた」、「募集要項の申込先・問い合わせ先はKGCで、内房産業は全く記載がない」などと主張。
さらに、「この主張が認められなくとも、適正化法5条の書面の交付義務、説明義務、情報提供義務を敢えて怠った」などとして、計約1800万円の損害賠償を求めた。この会員の主張に対して、KGC役員と日経側は全面的に争った。
裁判所は、「要項に内房産業の記載がない」と認定したものの、募集広告に「内房産業は施主として小文字で記載している」、加えてパンフレットに「内房産業は”施主#と表記され、KGCは”総合管理”と表示されており、パンフレットを注意深く読めば内房産業が”施主”で主体的。中心的な立場であることに気付く」。
「保証金預かり証書は内房産業だけが作成主体で、保証金預託の主体と明確に記載されている」・・・・等として「詐欺的な募集が行われ、錯誤に陥ったことは認められない」と判断。
適正化法の問題については、「書面を交付したとは認定できないが、KGC及び営業員が騙そうとして同書面を交付すべき義務・説明義務、情報提供義務を敢えて故意に怠ったとまでは認められない」として、
「商法266条の3第1項に基づく損害賠償及び不法行為に基づく損害賠償を求める会員の主張は理由がない」として、会員の訴えを退けた。
日経側は同様な訴えを他にも起こされているが、それら訴訟にも影響する高裁判決になった。
↓↓↓
預託金関連の判例その他(参照記事)
|