記事が1954年制作の映画「ゴジラ」から始まっているので、本賞でゴジラの話は避けて通れないのだが、東宝は(『第1回・ゴジラ(Part1)』でも載せてある通り)日本初の本格的な怪獣映画を制作する事は決定したのだが、当時日本の模型業界は金属合板の技術(本件では鉄&銅板での加工)を持っている人材が少なく、劇場の大スクリーンでの鑑賞に耐える戦車模型を登場させるのには当初二の足を踏んでいた。ゴジラ映画シリーズを何本か観た方なら御存知と思うのだが、ゴジラと自衛隊(本劇中では『防衛隊』という組織名で称されている)の戦車は殆どコンビ的な間柄で、ある意味で相棒と云ってイイ程にゴジラ映画には戦車が付き物なのである。
当時北澤さんは金属合板(本件では鉄&銅合板)で模型を制作出来る “数少ない” 日本人だった為、噂を聞き北澤さんを知った東宝が白羽の矢を立てた事で
《ゴジラ vs. 戦車》 という、後のシリーズに引き継がれる図式&名場面が毎度繰り広げられたのだが・・・其の北澤さんが一から制作したM24軽戦車チャーフィー(4両)はあまりに精巧な出来栄えだった為、其の後の東宝・怪獣映画、特撮映画でも続投した・・・要するに後々の東宝映画にまで北澤製M24が使い回される事と成った。(*此の辺をもう少し詳しく書くと、北澤さんの前に東宝から戦車作りを任された、要するに其の道の権威的な前任者が1人いらっしゃったらしいのだが、其方の方はどうも上手く行かなかった様で、それだけ北澤さんの腕前が優れていたという証拠)
同記事には劇中終盤で登場する航空自衛隊(本劇中では『航空防衛隊』)のジェット戦闘機F-86セイバー模型の事も書いているが、此方は北澤さん手作りによるソリッドモデル(木製の模型)なのだが、本編を観る限りでは木で出来ているとは思えない質感であり(此方も当時東宝が買い取ったとの事で)北澤製F-86も後々の東宝映画に出演し続けた。
本頁に目を通している方には是非御理解頂きたいのは、怪獣映画というのは怪獣がシッカリ巧く造形されていれば殆ど成立!という訳では勿論無く、場合によっては怪獣より(例えば)一般的な話題としては陽、スポットが当たらない様な個所
⇒ ゴジラの吐き出す放射火炎に吹き飛ばされる一般家屋のクオリティの方が(実は)意味があったり、今回挙げたヤラレ役の戦車、戦闘機の作りの方が重要だったりする瞬間があるのだ。此れが円谷英二が創り上げた
“怪獣が出て来る特撮映画の美学” でもあるのだろう。 |