政財界に幅広い人脈を持つとされるパチンコ関連会社「コスモ・イーシー」(東京都千代田区)の熊取谷(いすたに)稔社長(67)と、グループ約30社が東京国税局などの税務調査を受け、06年までの7年間で約30億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。
経理ミスなどを含む申告漏れ総額は約90億円に上るが、赤字企業が多いことから重加算税を含む法人税や所得税などの追徴税額は約7億円にとどまった。熊取谷社長やグループ各社は修正申告したという。
関係者によると、コスモ社などはグループ企業間での取引価格を低くしたり、赤字企業の経費を業績の良い会社に付け替えるなどして所得を圧縮していた。また、グループ各社から熊取谷社長への多額の貸し付けのうち、返済のめどが立たないものは熊取谷社長に対する役員賞与とされたという。
熊取谷社長は大阪府出身。埼玉、栃木県などで多くのゴルフ場の実質的オーナーを務めるほか、パチンコの玉貸し機やマージャン機器の製造・販売会社などを複数経営しており、プリペイドカードを使ったパチンコ機の導入を積極的に進めた。
90年に米国の名門ゴルフリゾート「ペブルビーチ」を約8億4000万ドルで買収し一躍有名に。リクルート事件で有罪判決を受けた元NTT会長の真藤恒氏(故人)の側近だったほか、複数の政治家とも親交が深く「フィクサー」とも呼ばれていた。
コスモ社は「税務調査を受けたのは事実だが、問題はなかった」と話している。【高島博之】
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