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★★★ 是非一度ふれてみて下さい。おすすめマーク。

★★   機会があればふれればいいように思います。

★    時間の無駄です。ふれるなマーク。

 

司法改革とまちづくりの文献紹介

本号は、司法改革の特集ともいえるので、私の書いたものや特に注目すべきものを中心に参考文献を紹介しておきたい。その前に、まちづくりの優れた本が発行されたのでその評論から。

 

杉原五郎「参加型まちづくり時代のコンサルタント」(はる書房 〇二年)。畏友杉原氏の二八年にわたる都市計画コンサルタントとしての足跡とその理論化である。本誌を通じ(本誌への登場は五、一三、二〇、二二、二五、三六号と数多い)、また阪神・淡路大震災時における活動を通じ、著者とのつきあいは長い。二人でワシントンとニューヨークのまちづくりNPOを調査して歩いたこともある。本書に盛られているのは、グローバル視点と足下視点双方からの実践とその総括的理論化である。グローバル視点とは、著者の豊富な国際調査、学研都市づくり、ベイエリア開発などを通じた大所高所からの提言であり、足下視点とは震災復興、中小企業経営などをふまえた市民の力に依拠する人間発達のまちづくり論である。従来のまちづくり論はこのどちらかに偏ったものがほとんどである。著者がアルパックという規模の大きな都市・地域計画の研究兼実践の会社の大阪事務所長でありながら、常に市民の視点を大切にその事業を遂行してきたことからこの二つの視点は統合されている。震災復興の章では、本誌が企画実施したワンパック専門家巡回相談隊の活動、その後の阪神・淡路まちづくり支援機構の活動が取り上げられ、私への過分の評価もいただいている。まちづくりを考える人、コンサルタントとは何かを求める人が一読されるべき本が発行された。

★★★

 

日弁連司法制度基盤整備・法曹人口問題計画等策定協議会「弁護士と司法の二〇一〇年戦略.弁護士は国民が利用しやすい職業に、司法は国民が求める役割を」(「自由と正義」九八年四月号)。司法制度改革審議会がまだ姿も見えなかったころ、弁護士会で作成されたきたるべき司法改革への胎動を予感させる文書。

 

斎藤浩「日弁連からの積極的司法像、弁護士像提起」(「法社会学」五一号九九年)。右文書を私が法社会学会で解説したもの。

 

「司法制度改革審議会意見書」(〇一年六月一二日付)。この意見書の内容が忠実に立法化されれば、明治以来とも戦後改革に匹敵するとも言われた司法分野の改革が達成される。いま政府の下にある司法制度改革推進本部で立法案が検討されている。首相官 邸 ホームページhttp://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/index2.htmlからダウンロードするか、「ジュリスト」一二〇八号で。

★★★

 

阿部昌樹・馬場健一・斎藤浩編「司法改革の最前線」(日本評論社 〇二年)。右意見書の総評価である。意見書には市民的視点で見ると弱点も多いが、かなりの分野で画期的なものとなっており、その評価を掘り下げ、旧来の硬直的議論を批判的に検討している。

 

斎藤浩「司法制度改革.二つの流れの合流点」(「月刊司法改革」一号九九年一〇月)。この審議会が全政党一致で国会で設置されるまでの系譜を分析した。

 

斎藤浩「司法制度改革審議会の現段階と期待するもの」(「法律時報」二〇〇〇年一月号)。これはこの審議会の構成などから、あるべき審議の方向を論じた。そこでこれまでの最高裁の姿勢を私は「我が国の司法も典型的な中央集権の体制下で、政官財のトライアングルを支え続けてきた。顔は市民に向かず、経済的強者、警察を含む行政権力の方を向き続けた歴史と総括されるであろう」と述べている。

 

坂本修「現場からの検証 司法改革」(学習の友社 〇一年)。私が右の文献などで、司法改革が財界的流れと市民的流れが、あまりにも遅れている最高裁を中心とする日本の司法の改革のために合流したとする捉え方を批判する。私のこの人への再批判は、「司法改革の最前線」でしている。

★★

 

小田中聰樹「司法改革の思想と論理」(信山社 〇一年)。現在進む司法改革への原理的批判の書である。

★★

 

日本弁護士連合会「裁判が変わる日本が変わる.わが国司法改革のゆくえ」(現代人文社二〇〇〇年)。司法改革について合流した労働界、経済界、主婦連、自民党、民主党、弁護士会などの代表がマスコミ人を入れて激しい討論をしている。私がコーディネーターをつとめている。

 

斎藤浩「最高裁プレゼンテーションの特徴と問題点」(「自由と正義」二〇〇〇年一月号)。これは審議会の途中で審議会宛に最高裁のした意見表明がいかに志が低いかを論じている。

 

佐藤幸治「自由と法秩序」(佐藤幸治・初宿正典・大石眞編『憲法五十年の展望2』九八年)。今回の司法改革の理念的基礎である「法の支配」概念を学問的に整理した基本文献。

★★★

 

井上達夫「何のための司法改革か.日本の構造改革における司法の位置」(井上達夫・河合幹雄編『体制改革としての司法改革』〇一年)。

★★★

 

井上達夫「体制改革としての司法改革」(「日本法哲学会公開シンポジウム報告集」〇一年)。この二つの文献で、井上教授は法の支配の実践的意義を深め、司法改革の方向につき根本的方向づけをおこなっている。

★★★

 

斎藤浩「『統一・平等・公正』養成からロースクールへ」(「自由と正義」二〇〇〇年七月号)。現行司法修習の問題点とあるべき法曹養成を論じたもの。この論文は、弁護士、裁判官、検察官が大切にしてきた司法修習の根本的誤りを指摘したが、彼らの誇りを傷つけるものとも取られ、議論は沸騰した。

 

斎藤浩発言「座談会 法科大学院論議の到達点と今後の課題」(法律時報増刊『シリーズ司法改革1』二〇〇〇年四月)。あるべきロースクールについて、学者と論争したもの。大学人がしっかりして欲しいこと、司法修習など恐れるに足りぬことを情熱的に弁じた。

 

日弁連「法曹養成制度に関するアメリカ・カナダ調査団報告書」(二〇〇〇年一一月)。私が日弁連のロースクール調査団の団長として、ハーバードなどのアメリカの制度、オズグットホールなどカナダの制度を調べた際の報告書。

 

日弁連編「日本型ロースクールをどう創るのか.公平性・開放性・多様性を確立するために」(現代人文社 〇一年)。良いロースクールを日本に作るために日弁連がおこなった公開シンポの記録である。大学人、法曹、裁判所利用者などを集めて、私がコーディネートしている。

 

斎藤浩「弁護士力を高め脱官僚裁判官制度確立へ.キャリアフリーシステムをつくるために」(「自由と正義」九九年三月号)。英米型の、経験ある弁護士から裁判官は選任されるべきであることを論じた論文。弁護士会の戦前からの悲願であった「法曹一元」という用語のわかりにくさを分析し、新しい提案もしている。

 

福井秀夫「裁判所、裁判官を市民のものに」(福井秀夫・川本明編「司法を救え.消費者本位のサービスへ」東洋経済新報社 〇一年)。単純な規制緩和論でなく、よく考え練られた規制緩和的司法改革論の優れた業績集。

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阿部泰隆「行政訴訟制度改革の一視点」(「ジュリスト」〇二年三月号)。司法改革の重要な一環としての行政訴訟改革の論点が整理されている。わが国の行政訴訟ほど少なく、形式論が多く、勝てない国は欧米ばかりでなくアジアにも珍しい。国民が裁判で堂々と国や地方自治体を訴え、勝訴できる仕組みを作らねばならない。

★★★

 

宮脇淳「司法分権―自治体司法の可能性」(「地方自治職員研修」二〇〇〇年八月号)、「自治体に司法機能を」(木佐繁男編「地方分権と司法分権」日本評論社〇一年)。自治体にも裁判所機能を与えるべきだしできるとの検討。私の前掲「司法改革の最前線」論文と同じ考え。

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