「60年代通信」 大型特別企画〜短期集中連載
                  

第1回〜プロローグ
第2回〜写真物語のモデルに
第3回〜貴重な写真発見!その(1)
第4回〜基調な写真発見!その(2)
第5回 スピンオフ〜「きみも大空を さんぽ できる」月刊「ぼくら」1964年3月号 より
by H.Makino
 “『ぼくら』村の少年”も、いよいよ第3回ということで、メイン・パートとなります『ぼくら』の表紙のお話に入ってまいります。
 牧野さんのオリジナル原稿では、これが最終回ということになりますが、たった3回で終わりにするのは、あまりにも勿体ないので、取り敢えず、今回は、1963(昭和38)年の6月号、10月号、11月号、12月号の4号分の表紙を中心とする構成とさせていただきます。

第3回〜貴重な写真発見!その(1)

『ぼくら』(1963年6月号)の表紙と
牧野さんのアップ

 『ぼくら』の表紙の撮影は、『なかよし』とは打って変わって外での撮影が全体の半分を占めました。
 当時の記憶があいまいで正しくない部分もありますが、最初の撮影はたぶん“横須賀港”かどこかに碇泊していた「海上自衛隊」の“駆逐艦”上で行われたと思います。
 昭和38年6月号の表紙ですから、撮影した時期は3〜4月頃だったのではないでしょうか。

[主宰者から]
 ということで、いよいよ、メーン・エベントであります牧野さんが表紙モデルとして登場してまいります『ぼくら』の表紙ギャラリーの部に入ってまいりました。
 牧野さんからは、1963(昭和38)年の6月号、10月号、11月号、12月号、1964(昭和39)年の1月号、2月号、3月号、4月号、5月号、6月号、7月号、の計11号分の表紙とともに、撮影時のネガや紙焼き写真などもお預かりしていますが、今回は、取り敢えず、牧野さんが登場されている『ぼくら』の表紙ギャラリーということにしまして、懐かしい『ぼくら』の表紙の数々をご覧いただこうと思います。
 まず、1963(昭和38)年6月号の表紙でありますが、マキノさんも書かれているとおり、海上自衛隊の駆逐艦の船上で撮影されたものであります。
 当時、戦闘機や戦艦、戦車などは、少年マンガ雑誌の表紙や特集ものなんかでは、代表的な定番メニューになっていたわけですが、私は、ごくごく一部の代表的な戦闘機や戦艦、戦車などは、少しくらい知っていましたが、基本的に、この手のメカ系のものはカラッキシ弱い少年でありましたので、この船が何という名前の駆逐艦なのかは、皆目、見当もつきません。
 それは、ともかく、取り敢えず、表紙に印刷されている文字は、すべて、紹介させていただきます。
 まず、一番上の『ぼくら』という題字横には、黄色い地に「大評判」と赤い文字が抜かれ、赤い星のマーク付きで「金メダルプレゼント」「切手プレゼント」「デリンジャー=プレゼント」と書かれています。
 恐らく、『ぼくら』の売り物の懸賞プレゼントの紹介かと思われますが、昭和38年6月といえば、翌年10月に開催が予定されていた東京オリンピックに向けて、既に、世の中はそろそろ盛り上がりを見せはじめていた頃と思われ、こうした雑誌の企画などでも、「金メダル」という言葉がキーワードとして重宝されていたのではないかと思います。
 表紙の左下には、改めて、黄色い丸の中に「金メダルプレゼント」と打たれ、「◎どこにもうっていない特製の金メダル」「◎今すぐ本誌82ページを見よう」と謳われています。
 早速、本誌82ページを見てみたいところでありますが、既に、牧野さんも以前、「お便りコーナー」で書かれていた通り、牧野さんのお手元に保存してあるのは、残念ながら表紙のみでありまして、牧野さんご自身も、表紙だけでなく全部取っておけばよかったと後悔されていらっしゃいますように、私としても、いや、私だけでなく、この「60年代通信」をご覧いただいている皆様の総意ということになろうかと思いますが、何とか、この当時の『ぼくら』を入手し、もう少し、掘り下げて色々なことを確認できるようにしたいと考えております。
 皆様も、何か、貴重な情報がございましたら、どんどん、お寄せいただければと思います。
 さて、懸賞プレゼントの2番目は「切手プレゼント」ということで、牧野さんご自身も、この“『ぼくら』村の少年”の第1回で書かれていた通り、当時、子供たちの間で切手のコレクションというのが大流行しておりまして、『週刊少年サンデー』や『週刊少年マガジン』などの週刊誌でも、切手プレゼントというのは、やはり、一つの定番でありました。切手の収集などには、全く関心のなかった私でさえ、「月に雁」「見返り美人」「ピードロを吹く女」などという高額の切手の名前は、今だに覚えているほどであります。
 そして、3番目が「デリンジャー・プレゼント」ということで、恐らく、モデルガンのプレゼント懸賞ではないかと思われます。モデルガンも、やはり、あの頃、子供達と、もうちょっと上のお兄さんたちの間では、非常に人気の高いアイテムであり、戦争ものが大嫌いなオヤジを持っていた私は、モデルガンの購入など考えてもみなかったわけですが、それでも、有名なコルトとかワルサーとかデリンジャーなどというモデルは、そんな私でも、型と名前を一致させることが出来ました。
 デリンジャーというのは、確か、手のひらにスッポリ入るような丸みを帯びた小さなモデルで、リンカーンの暗殺に使われたのが、この拳銃だったと記憶しております。
 そして、この頃の月刊誌といえば、何といっても、付録が売り物だったわけでありまして、本の間の付録が抜け落ちないようにヒモで結わえられ、厚みを増して本屋さんに平積みにされた月刊誌は、店先でその膨らみを見ているだけで、心がトキメいたものでありました。
 この『ぼくら』1963(昭和38)年6月号の付録は、“セット”ということで、(1)原色写真大カード/世界の名車、(2)工作ふろく/ポラリス・ミサイルの2大セットと、“別冊付録”として、(3)0戦チャンピオン、(4)はしれ一文字、さらに、“特別ふろく”の(5)5月の日本切手ねだん帳、というようなラインナップになっております。
 また、表紙右下の「6」という数字の下には、赤い地に黄色いクラブのマークがあしらわれ、「ぼくの作文募集(40)」「ぼくの標語募集(48)」という募集企画の案内が打たれています。
 
『ぼくら』(1963年11月号)表紙

 まだ、戦争関連企画が少年たちの憧れだった時代でTVドラマ「コンバット」や「ギャラントメン」などは、欠かさず見ていた記憶があります。そんな影響でしょうか、戦争物の表紙は、11枚中5枚を占めています。
 それぞれの表紙に記載されている“ふろく”名にも、その証拠が残っています。
 例えば、昭和38年12月号には、「工作ふろく・・ちゅうがえり戦車M63」や、「金のがくぶち・・戦艦大和」、そして、マンガの題名を見ると「大空三四郎」、「ゼロ戦特攻隊」などとにかく戦争物が大半を占めており、少年たちが当時いかに夢中になっていたことがわかります。雑誌社もこれをあおっていたともいえますが・・・。

[主宰者から]
 10月号の表紙は、ちゃんと表紙にキャプションがついておりまして、「自衛隊の対戦車用兵器、106ミリ無反動砲です」と書いてあります。
 付録は、(1)天守閣まとつき・忍者用かくしづつ、(2)忍術はスパイのことがわかる・隠密手帳、さらに、別冊付録として、(3)大空三四郎、(4)オーケー学校、(5)ATOMICゴロー、というラインナップです。
 懸賞系では、「3大プレゼント」ということで、(1)切手プレゼント、(2)金メダルプレゼント、(3)プラスチックモデル・プレゼント、が表紙で謳われております。
『ぼくら』(1963年10月号)表紙と牧野さんのアップ

 また、「宇宙探検」や「宇宙人」なども人気があり、私も、「宇宙家族ロビンソン」などの影響でそれらの特集は、楽しみのひとつでした。
 それ以外には、「忍者」関係も、「忍者部隊月光」、「隠密剣士」、「風のフジ丸」等の影響でしょうか、人気がありました。(おもちゃの刀を背中にかけて、よく遊びました。ちなみに、「隠密剣士」と「風のフジ丸」は、『ぼくら』に連載されていましたね!)
 あとは、「白バイ」にまたがった表紙は、「警視庁」で実際に撮影しました(昭和38年10月号)。
 ちなみに、世間を騒がせたあの「3億円事件」で“白バイ”が注目されたのはこの後だったと記憶していますが・・・。

[主宰者から]
 10月号も、表紙にキャプションがついおりますが、「表紙のしゃしんは、警視庁の最新型白バイです」というおおざっぱな説明ですので、バイクの型式まではわかりません。
 牧野さんがお書きになっている「3億円事件」が起きたのは、この表紙から約5年後の1968(昭和43)年12月10日のことでありまして、ということは、まもなく、メデタく30周年ということになるわけですから、もう、とっくに時効も成立していることですし、私も、分けてもらいたいものであります。貧しい我が家の場合、地域振興券など、対象となる子供が3人もいたところで、「焼け石に水」どころか「焼け石に水蒸気」または「火に油」というような状況であります…、と、また、あらぬ方向に走り出そうとしておりますので、話を戻しましょう。
 この1968年10月号でありますが、付録は、(1)オール日本9月の切手ねだん帳(6月号ではオマケのような第5付録だったのに、一気に大躍進であります)、(2)原色21世紀宇宙大カード、(3)奇術セット、(4)大空三四郎/独立黒ひょう隊、という4点のラインナップであります。別冊付録が1冊で2つのマンガが収録されているようでありまして、そういえば、1冊で裏も表も表紙になっていて、裏側は、天地が逆さになっているというような別冊付録もあったような記憶が蘇ってきました。
 懸賞系では、「今月からはじまった新しいプレゼント」ということで、「プラスチックモデル・プレゼント」という企画が立ち上がり、後は、従前からの企画であります「切手プレゼント」と「金メダルプレゼント」も継続されております。
 ちなみに、この表紙は、背景をよく見ると、「七人の刑事」をはじめとする警察モノ・ドラマではお決まりのシーンである、桜田門の懐かしい丸みを帯びた警視庁の旧庁舎が写っております。
『ぼくら』(1963年12月号)の表紙。
いきなり牧野さんのアップです
 
[主催者から]
 続きまして、『ぼくら』の1963(昭和38)年12月号の表紙です。
 すでに、この表紙は、この“『ぼくら』村の少年”の連載第1回でも使わせていただいておりますが、牧野さんのアップによる表紙写真としては、これが第1号ということだったようであります。
 この12月号の発売は、10月の下旬だったようで、『ぼくら』の題字右横には、丸いミミズク・マークの「読書週間・1963・10.27-11.9」というロゴも印刷されています。
 そういえば、このページの最初で紹介させていただいた6月号でも、表紙左上の「大評判」という文字の左脇に、「こども読書週間・1963・5月1日〜14日」と印刷されておりました。
 ということで再び、12月号の表紙に話を戻しますと、まず、付録ですが、(1)工作ふろく・ちゅうがえり戦車M63、(2)金のがくぶち・戦艦大和、(3)きみも名探偵になれる・変装めがね、さらに、別冊付録として、(4)大空三四郎、(5)アトミック・ゴロー、(6)ゼロ戦特攻隊、という6点セットとなっております。
 さらに、懸賞は、「ぼくらデパート」の見出しが打たれ、(1)切手プレゼント、(2)金メダルプレゼント、(3)プラスチックモデル・プレゼント、というようなラインナップでありました。

 別冊付録として登場してきている個別のマンガなどにも言及したいところでありますが、スペースの関係などもありまして、というよりも、手元の資料や作業時間の関係という方が、より真実でありますが、何れにしても、他の機会に譲らせていただくことにしようと思いますので、悪しからず、ご了承ください。
 また、「60年代のマンガ」などのコーナーで取り上げさせていただこうと思います。
 

(続く)
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