(2) FT-26DモーターとR : 555 シャーシの登場
 
TOP : The original flame by AYK parts for FT-26D motor.
 
 1967年初頭、それまでマブチモーターのFT-16, 16D, 36, 36Dを使用したシャーシを製作し続けていたAYKだったが、FT-26Dモーターの登場によってこれまで不可能だったサイドワインダーでの幅の狭いGTタイプやフォーミュラタイプに合せられるシャーシ開発が可能となり、AYKにとっては大きなターニングポイントを迎える。
 FT-26Dの発売時期が手持ちの資料だとはっきりしないのだが、以前当ホームページにてこの件について調べたことがあるので「モデルカーレーシングの夜明けPart3」をご覧いただきたい。
 
 下の広告は、1966年No.12に掲載されていた広告である。そこには「AYKはレーシングカーパーツを作り出してからもう四年もすぎました。」と冒頭書かれていることから、スロットカーブームが起こる1965年以前の1962〜63年頃からすでにスロットカーパーツを作り始めていたことになる。
 金属パーツだけではなく、シリコンタイヤも発売を開始。 その後スポンジタイヤや硬質ゴムタイヤなども発売していくことになる。
この時期、下の新商品紹介の中に、サイドワインダーシャーシとしては成功した(私も当時購入し、安定感があり速いことに驚いた)がある。 R-500 である。 当時のAYKのライバルというとタミヤ製エルバ用真鍮製A型シャーシだった。このシャーシを改造してクリヤーボディと組み合わせるのが一番速いシャーシでバランスがとれたシャーシだったと言える。 モデル・スピードライフ誌内作例でも頻繁に使用されていたことからも分かる。その後、タミヤが出したD型シャーシ(サイドワインダーダイキャストサスペンションシャーシ)が主役となり、各マンスリーレースやビッグイベントなどで活躍することになる。
ちなみに当時のタミヤA型シャーシとD型シャーシの改造例等をまとめてみたのでご覧いただきたい。

さて、AYKはというと、R-500の成功ににより、よりサイドワインダー方式が主流となり主力商品となっていく。
そんな時にあのFT-26D が発売され、今までのタミヤシャーシの優位性は根本から崩れることとなる。
 
 
  
  
 
 1966年後半に発売された"R: 500"は、完成度の高いパイプシャーシであった。
モデル・スピードライフ誌に早くもこのシャーシについてのファーストインプレッションが書かれている。

 「このシャーシは、今までのパイプシャーシを生かしてサイドワインダー式にしたもので、なかなか良い製品になっております。モーターはFT-36D専用です。ホイールベースを自由に調整でき、それに合わせてスイングアームの長さも自由に動かせるようになっており、大変良いものです。サイドワインダーシャーシとしてはほとんど改良する必要はありませんが、ギヤ比を変えるためモーターとシャフトの距離を多少動くようにしたいものです。」と編集者の萩原勇一朗氏がコメントしている。

 AYKのパイプシャーシは当初よりクリヤーボディとのマウント方法を1.5mm径の真鍮パイプをボディ幅に合わせてシャーシに半田で2か所留めてボディ外側から“虫ピン”を差し込んでボディを取り付けていた。 
この方式により今までのようにビスが外側から見えてボディプロポーションを損なうことを防いでいる。

 そして、同時に発売された"R:501"に注目されたい。 あまり今までシャーシの本体に使用されることがなかった“ピアノ線”を使って構成されたシャーシであった。
 ピアノ線は真鍮ではなく鉄であり、半田を使うことができることと、その柔軟性により真鍮では力を入れると直ぐに曲がってしまうところをピアノ線ではかなり力を入れないと曲がることはない。 それどころかピアノ線自体がリーフサスペンションのような弾力性があり、スプリングではないがシャーシ本体に使用することにより、全体でサスペンション効果を出すことが出来る。
 事実、私もリア部分にピアノ線を使用してサス効果を狙った自作シャーシを何台も製作したものである。
 
 
 
 
TOP : AYK "R : 500 sidewinder frame.(right side) is best frame.
 
 
 
FT-26D専用の“R : 555”の登場!!

 1967年8月号No.21のモデル・スピードライフ誌のAYK広告に初めて"R : 555"が掲載された。
待望のFT-26Dモーター専用のサイドワインダーシャーシである。 モーターマウントには、R : 512というギヤ比を変えることが出来、自作シャーシにも応用可能な優れものを使用している。
 さらに、このシャーシの特徴としてフレーム自体が細いパイプで出来ており、今までにない軽量シャーシに仕上がっている。 また、前輪シャフトにピアノ線を使用し、両輪をフリーホイールシステムにすることが出来る。また、キャンバー&トーイン調整も簡単に出来る。 今まで不可能だったフォーミュラボディへも車種によるが使用可能なシャーシとして使えるのも魅力の1つだ。 FT-26Dの恩恵で生まれたと言っても良いシャーシだと思う。
 

 余談だが、このR : 555 の登場以前にこのシャーシのヒントになったと思われるシャーシが存在した。
それが下のFT-16専用のインラインシャーシである。(下の写真の広告は、1967年2月号No.16に掲載されていたもの)
このシャーシを見るとフロントのピアノ線で出来たフリーホイールシャフトなどの形状から、これが R : 555 のプロトタイプとなったことは明らかだ。現存するカラー写真は当方の友人より貸していただいたものだ。綺麗な状態で現在もコレクションされている。
 
 
 
TOP : This is the R-555 prototype chassis in 1967.

 
 TOP : AYK R-555.
This chassis is exclusively for the FT-26D motor.
And it is a chassis that uses piano wire. The front shaft is a freewheel.

 

 

 

 

 

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