東京高裁民事部5部(小林勝巳裁判長)は、「高崎KGCC」(18H、群馬県)の会員が、経営会社の(株)サントピアクラブの再生計画認可決定を取り消すよう抗告していた事件で、会員の主張を退け11月6日に抗告を棄却した。これにより、同計画案は11月7日付けで認可決定確定となった。
再生会社は今年2月2日に民事再生法を申請。再生会社の株式は全て親会社の(株)ニコフが保有し、主な債権者はニコフ(以下親会社)及び預託金債権者(会員)580名であった。再生会社はゴルフ場の鑑定評価から予想清算配当率等を試算し、同4月にスポンサー支援型の再生計画案を提出した。
同計画案には再生会社の株式譲渡額についての記載がなかったが、
@ 親会社から債務全額免除を受ける
A 一般再生債権者に対しては12%弁済
B 継続会員は95%免除で、会員権1口に付き額面のない会員権1口を分割
・・・・と記載した。そして7月4日に債権者集会が開かれ、債権額で63・35%の賛成を得て、再生計画案が認可決定となった。
この決定に対し会員は既報通り7月26日に抗告し、
@ 株式譲渡代金は重要な情報だが、秘匿したまま決議がなされた
A 親会社は株式を売却するという特別な利益を得ていて、債権者平等原則に反する
B 本件ゴルフ場の評価は3億5千万円以上といわれ、配当率12%は低い
・・・・と訴えた。
同高裁は、本件の再生計画案は民事再生法174条2項各号(不認可決定)に該当する事由はないとして認可すべきと判断した上で、抗告理由についてそれぞれ判断した。
@については、ゴルフ場の価値や株式の譲渡代金額は再生債権者が関心を持つはずの事項であるが、スポンサー会社が株式を取得すること自体は明示されており、しかも親会社とスポンサー会社との株式譲渡の内容は再生計画案の必要的な記載事項ではない・・・とし、
株式譲渡額が開示されなかったとしても、不当であるとはいえないと認定した。そして、一般の再生債権者は別途株式譲渡額の開示を求めることや議決権の行使でその意思を表明しうる等とも論じている。
Aについては、親会社の再生債権額は2億7千万円余で適法に確定されており、親会社が議決権を行使し再生決議案の可決に賛成したことを不当とすべき理由はないとした。
Bについては、本件ゴルフ場の価値が3億5千万円以上であることを認める的確な資料はなく、ゴルフ場の財産評定が不当に低いという根拠はないと認定。
また、親会社の株式譲渡代金の授受は本件再生案件とは別個の事柄として会員の主張は採用しがたいとした。その他、記録を精査しても再生計画について不認可にすべき事由を見いだすことが出来ないとしている。
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