Needlework Marble 大西淳子

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8月のキット

リボンコラージュのバニティボックス

 
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作者より

晴れやかな気持ちで外に出かけられなくなって数か月がたちます。

新しいバッグやストールを作りましょう、とおすすめする一方で、これを持って出かけましょう、というひと言が、今はなかなか言えません。

そんな時、今回使用したバニティボックス用口金に出会いました。

ああ、箱ってやっぱり惹かれる・・・。

中身を使い終わったあとの箱、缶、ビン・・・どれも棄てられなくて、専用のケースにおさめて保管しています。時々取り出しては、使いこんだものと取り換え、あらためて眺めると、それらにまつわる思い出が静かによみがえります。

サンプルを見て、これだ!と思ったのは、その形と大きさ。編み針や刺繍糸を入れて、缶の中でもとりわけ大活躍のヨックモックのものと似たサイズだと気づき、これなら多くの方に便利に使ってもらえると確信したのです。

家で過ごす時間が多い今、身近に自分が一生懸命作ったもの、お気に入りがあるということは大きなやすらぎです。

バッグの制作では、生地をひろげ、ミシンを使うため、それなりのスペースと時間の確保が必要ですが、今回は生地の縫い合わせの時にミシンを使うくらいで、それ以外は小さなスペースで好きな時に取り出してコツコツと進めれらるというのも、生活の中のちょっとした気分転換に向いていると思いました。

でも、口金はねぇ・・・というつぶやきもどこかから聞こえてきそう?私自身も口金を付けるたびに緊張し、手や布をボンドまみれにした末、いまひとつだった・・・と感じたことは一度や二度ではありません。口金という固定した形にやわらかい布を差し込んで収める、それをある程度の強度や重さに耐えられるように仕上げるというのはなかなかのハードルの高さです。

一方で形が安定した箱を差し込むというのは、かなり楽です。箱が仕上がったら、口金をボンドで固定する前に一度試しに差し込んでみて下さい。何の調節をしなくても正しい位置にすっぽりと収まります。

この状態にストッパーとなる紙ひもをはさんでいくだけ(!)と言いたいのですが、口金を固定するときに使う強力ボンドの扱いに、実は私もちょっと気持ちがあとずさるのです。

(あの、糸を引くような伸びが手ごわいです)

このボックスの使い方について改めて考えてみたのです。

たとえば、お裁縫道具入れとしてレッスンに持っていく場合、がま口の小銭入れのように口金部分をつまんで取り出すことはないでしょうし、これを袋に入れずに単体で持ち歩くということもほぼないでしょう。

つまり、口金部分に負荷がかかる可能性は低く、最低限「抜けない」状態であることさえクリアできればよいと考えました。

それでよいのなら、紙ひもが箱に貼った布とくっついて隙間を埋められればよいということ、だとすると使い慣れた手芸用ボンドでも今回は大丈夫という結論になり、ためしてみたところ、これまでにないやりやすさで口金をはめ込むことができ、思っていた以上にしっかりと固定できました。

試作を含め、いくつか作ってみた感想として、バッグとは違うところに作り方のポイントがあることに気づきました。

ひとことでいうと「正確さ」です。もちろん、バッグ作りでも重要なことですが、今回はこれがないと形にならないのです。

そういわれるとちょっと、と思われるかもしれませんが、基本となる箱本体は組み立てる前の大きさに裁断してありますので、これをマスキングテープで張り合わせていただけば、そしてそこに型紙通りに仕立てた生地を両面テープとボンドで貼っていただければ、間違うことはありません。

ただ、ご存じのように、布の縫い合わせの過程でちょっとした誤差が生まれがちです。

今回のレシピでは、これをチェックしていただくポイントを数か所入れていますので、違っている場合はそこで修正していただければ、最後までたどりつける流れになっています。

最後にぴったりと収まったときの爽快感、達成感はそこに至るまでの苦労を忘れさせ、大きな喜びをもたらしてくれます。

この作品を作るにあたって、ひとつ、バッグではできないことをやってみようという試みがありました。それば後ろ面を思いきり装飾するということです。

バッグでは体に触れる部分であるため、飾りは控えめですが、箱ならいくら盛り込んでも困ることはありません。

平面で組み合わせたものが、立体として立ち上がったときに見せてくれた景色は、私の想像をはるかに上まわるものでした。

口金がつくこともあって正面の装飾は抑えめ、生地の質感の違いで動きを出そうと考えました。それによって蓋部分のリボンのコラージュが引き立ってみえます。

翻って後ろ面のにぎやかさ!ミッドナイトブルーの印象と相まってステッチが夜の海に浮かぶつり橋のように見えたり、蓋部分との交錯によって子供のころに何かの本で見た『未来都市』のように見えたり。側面の小さなスクエアスペースへの流れもなかなユニークで、作り終えたあとは、何度も何度もくるくる回して飽きずに見つめていました。

お揃いの小さめボックスは中に収めて仕切りにしたり、外して単独で使ったりと、本体の用途の幅を広げてくれます。

ピンチはチャンス、この時期何度も聞いたことばかもしれませんが、延長線上にある新しいことに取り組むのは、少ない気持ちの負担で心と体をリフレッシュしてくれるように思います。形は変わっても、何かを作るということが、これからも日々の支えになってくれることを願っています。

 

これまでのキット作りに加えて、今回ご用意いただくと便利なものをご紹介しておきます。

1. マスキングテープ…20ミリくらいの幅のもの。薄手で粘着力もあるもの。サンプルはカモイの『mt』ブランドのものを使いました。

2. 両面テープ…15ミリ幅のものが便利です。粘着力はふつうのもので。サンプルは『キャンドゥ』で売られていた9m巻きのものを使いました。

3. 手芸用ボンド…木工用ボンドでも可。水溶性で白い液状、乾くと透明になるもの。

4. マイナスドライバー…10~15センチくらいのもの

5. がま口専用差し込みへら…なくてもマイナスドライバーで兼用できますが、あるとスムーズに作業が進みます。手芸店で購入できます。ご要望があればキットと共にご購入いただけます。¥450(税別)

(がま口専用差し込みへら写真)

がま口専用差し込みへら

キットについて

キット価格 ¥9000(税別)
サイズ 7×7×20センチ
キット内容 リボンおよびブレード15種、無地コットン3種、長方形織り柄、モアレ、薄手接着芯2種、口金、紙ひも、ベルポーレン(芯)、ビーズ11種、8番刺繍糸 3種、ステッチテープ

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