仕事で都内にでかけると、ほとんどの場合はとんぼ返りですが、少し時間に余裕のあるときは、デパートや駅ビルの中を散策して、ささやかな情報収集をします。地下鉄の壁を飾るショーウインドウに忘れていた季節の行事を思い出させてもらうこともしばしば。常ににぎやかなデパ地下をすり抜けて、エスカレーターに乗ったら気になるフロアで降り、ぶらぶらとしてみます。その日は文具の売り場に降りてみました。鮮やかな色の一角が目に留まり歩いていくと、フランスの雑貨や手芸の材料を扱う期間限定のイベントスペース。文具売り場に来てまで布を見つけるとは、私の嗅覚もなかなかのもの。かわいいリボンやレースに心惹かれつつ、乾いた色調がいつもの手芸店で扱っているものとはどこか違うような気がして、いくつかのソレイアードプリントを買って帰りました。
久しぶりに少し大き目のバッグが作りたいと思っていたのでこれらに相性のよさそうな無地を合わせてパッチワークを始めました。それだけでも悪くはないと思ったのですが、もう少し奥行きを出したいと思いボリューム感のある黒のレースを合わせることに。レースが強すぎるかな、とも思ったけれど、一見おとなしく見える小紋のような柄は決して負けていません。生地の鋭角的なカットと重なることで万華鏡のような不思議な表情が生まれました。夏に黒は暑苦しい印象がありますが、はっきりとしたコントラストは強い日差しに映えてシンプルな装いのよいアクセントになりそうです。少しでも涼しい感じを演出できたらと思い、ポケットにはレースを重ね、持ち手は20センチ幅のネットを折りたたんで作りました。このネットが意外にも実用的。伸縮性があるので、肩にかけた時フィット感があり、そして涼しい!
バッグの上部にポイントがあるデザインを生かし、ショルダーバッグにもなるようにパーツを加えました。ここぞ、というときにはしっかりレースのふたをアピール、人混みや摩擦が気になる洋服の時は、レース面を内側に折って使っていただけば、長くよい状態が保てると思います。
パッチワーク部分は使用する大きさに裁断済みなので、思っているより短い時間で作っていただけるはず。この夏は白いTシャツが注目アイテムということで、大きめのバッグはスタイリングのバランスをとるのにぴったり。若者風にちょっと短めに斜め掛けしてフレッシュなファッションに挑戦するのも楽しいのではないでしょうか。