Needlework Marble 大西淳子

Monthly Kit Archive

12月のキット

イヤーバッグ2018
<TSUBAKI>

 

作者より

まずは、昨年のとは随分雰囲気が違うなぁという印象をいだかれることでしょう。

掘り下げ、試行錯誤した末に出てきたものが、これなんだと驚くとともに、自分の根底にあるものを改めて知る、貴重な機会でもありました。

ランダムなパッチワークに見えるデザインは、椿の花をデザイン化したもので、中央より左上あたりの青い生地に並べた竹ビーズはぎっしりと詰まった雄蕊を表現しています。

前回に引き続き、また茶道の話になってしまいますが、かの北大路魯山人も「茶道は美の総合大学」とおっしゃっていますので、ご了承の上、しばしお付き合い下さい。

私が通っていた先生のお宅では、毎年初釜の席では、切りたての青竹の花卉に椿が一輪活けられていました。ゆえに新春というと自然と椿を思い出します。

切り貼り柄の着物に見立てた全面の椿に、生地を重ね、刺繍を加えて立体感を出した数字「2」「0」「8」のモチーフを動きを持たせて並べます。

「1」は椿が活けられていた青竹のイメージを緑の透明チューブを並べて描きました。

ベースとなる布にチュールやメッシュを重ねたのは色を調整するためですが、伝統的な「かさね」という言葉にもつながります。

自分の中に根付く、日本の伝統的なものに対する敬意やあこがれは、アンティーク家具の仕事をしていたことから自然と取り入れるようになった西洋の古い様式や素材と同様に、私の制作を支えてくれている大きなよりどころであることに改めて気づき、これからの制作の中ではそれらをもっと大切に扱い、そして「今」の人々の心に響くものを作っていきたい、年の瀬が迫ったせいでしょうか、手を動かし、あれこれ考える中でそんなことを考えていました。

イヤーバッグは一年中、目に留まるところに掛けておきたいので、デザインはもちろん、色にもこだわります。

 

決して詳しくはないのですが、大相撲が好きで、場所が始まると夕方4時くらいからそわそわしてきて、困ってしまいます。(年6回もあると、そのうち失業してしまうのではないかと思うくらい)

取り組みの他、行司の装束や力士のまわしや手ぬぐいの色にも仕事柄、興味がわきます。

先場所、大活躍だった若手力士が赤のまわしを締めていたのが、とても印象的でした。

赤はやはり力をくれる色なのかなと思っていたところ、なぜか今場所は横綱のような渋い色に変わっていました

実力がつくとまわしもそうなるのか、と思っていたのですが、先場所と変わって、前半はかなり苦戦の様子。するとなんと後半戦はまわしが赤に戻っていて、しかも勝負も挽回し始めついには勝ち越しとなりました。

どういう理由でそうしたのかはわかりませんが、まわしは渋い色でも手ぬぐいは必ず赤、という力士もいます。

勝負の時には赤、というのが、だんだん私の意識の中にも芽生えてきて、ここぞという場面では、赤い物を身に付けたり、展示会でも必ずひとつは赤の作品を作るように心がけるようになりました。

色自体にパワーがあるというより、人間の中の何かが赤を目にすることによって呼び覚まさせられるのかもしれません。

というわけで、今年のバッグには随所に「赤」を取り入れています。

みなさまの2018年が明るく、生き生きとした一年となることを願って。

今年も数字モチーフや葉っぱのチャーム、裾のタッセルなど、細かい部分は完成品をご用意しますので、初めての方にも是非チャレンジしていただけたらと思います。

来年はどんな一年になるのでしょう。世の中も自分自身も少しずつ変わっていきますが、好きなものに触れ、それを楽しむことで、たいていのことは乗り越えていける、それくらいの楽観主義でいたいものですね。

キットについて

キット価格 9,000円(税抜)
サイズ 32×32センチ
キット内容 コットンプリント2種、玉虫色織り地、着物地3種、無地4種、ビニール、チュール3種、メッシュ2種、タッセル、葉っぱチャーム、数字モチーフ(縫い付ける糸を含む)、リング、マグネット、リボン、ブレード、接着キルト芯、薄手接着芯、ビーズ6種、刺繍糸3種、チューブ

※柄のあるものは、サンプルと柄行が異なる場合があります。

マンスリーキットの詳細はこちら

2018年2月
2018年
2月

2017年10月
2017年
10月

マンスリーキットの一覧はこちら


最新の
マンスリーキット
に戻る


ホームに戻る

マンスリー
キット
アーカイブ
一覧へ

ページの
先頭へ