最近、ビーズショップを回っていると、ビーズ刺繍の際に使う、丸小、竹、特小ビーズのカラーバリエーションが広がったように感じます。
以前だったらヴィンテージでしか探せなかったマットな色の特小ビーズ、自分で使うときは何とか頑張って、あの髪の毛のような細いビーズ針を使って付
けていくのですが、これを使って楽しんで、とお勧めするのは躊躇していました。
でも、品質のよい国産の特小ビーズなら、通常のビーズ針で気持ちよく刺繍が続けられます。
ちょうどビーズ刺繍が引き立ちそうなゴブラン織りを見つけたので、これを機にビーズ刺繍を楽しむキットを提案させていただくことにしました。
布を片手に数か所ビーズショップを回って集めたビーズをモチーフに合わせて付けていく作業はとても楽しいものです。
しかし、ビーズ刺繍もほぼ完了と思えた時、突然手が止まりました。
あれ?何かが違う。何だろう・・・生地の質感が自分がイメージしていたデザインに合・わ・な・い?
でも、この刺繍自体は自分でも気に入っている。もしかして、刺繍をしていない部分の地の「黒」に原因があるのかも。
そう思った私は、ストックの中から黒のスパングルを見つけ、隙間を埋め始めました。
(えっ、まだ付けるのって言われるかしら?いえいえ、私のお客さまは、そんなことは労ともせず、美しさを追求してくれる方ばかりだから大丈夫、で・
す・よ・ね)
ビーズ刺繍と地との落差を小さくすることによって、生地自体のトーンが整い、静かな華やかさが加わりました。
そしてこれによって今回のバッグのセンス、品格を左右するのは「黒」であることに気がつきました。
つまり次の課題は「黒」を探すこと。どれくらいの深さのどれくらいの光沢を放つ黒かということをできるだけ具体的にイメージしながら生地探しに出か
け、たどり着いたのは、上質な紳士服地でした。ただ、それだけでは、まとまりすぎてしまうと感じたので、品の良い光沢を添えてくれるグログランの黒も
併せて選びました。
黒の光沢へのこだわりは、ファスナー選びにも反映させます。いつもは横目で眺め、通り過ぎていた、通常の5倍くらいの価格のファスナーを使ってオリ
ジナル加工をしてもらうことに。こういうものが存在することの意味を身をもって知りました。たかがファスナー、されどファスナーなんですね。
ファッション誌を見ていると、秋冬は太いベルトのバッグを斜め掛けして颯爽と歩く姿が印象的でしたので、今回は思い切って太ベルトにしてみます。
ポイントの赤の革、キレイ!でも、革を縫うのは大変・・・と心配されている方、ご安心を。革を縫う部分はこちらでご用意します。
ビーズ刺繍もこれまでの実物大カラーコピーに加えて、さらにわかりやすいテキストをご用意したいと思います。
かつては芸術の秋が手芸シーズンの幕開けのように言われていましたが、今は前倒しで、この猛暑の中、快適な場所でハンドメイドを楽しみ、秋のおしゃ
れのプランを立てながら優雅に乗り切るのが、新しいトレンドのようです。