最近、書店で「大人の塗り絵」をよく見かけるようになりました。
以前は高齢者向けのものと認識していましたが、今では種類も増え、中には細密画のような細かな空間を塗り分けていくものもあり、さまざまな世代へ向けて広がりを見せているように感じます。
このブームの背景にあるものは何だろう?と考えながらも、それら仕上げたときの心持を想像すると、自分にも心当たりがあるように思います。今ひとつ仕事のモードに入れないとき、「よし、今日はとにかくしるし通りに裁断して、一目もはずさず縫おう」とか「いつもより正確な間隔でビーズを付けていこう」など、丁寧に仕上げる、ということにポイントを置いて進めることを心掛けてみます。
ピシッと仕上がったものを見たときの何とも言えない達成感、成し遂げたという自信が源となって自然に前に進むエネルギーが沸いてきます。片付けや写経のブームにも、同じような効果が期待できるかもしれません。
あるべきものがあるべき場所に収まっていることの心地よさは生真面目できれい好きな日本人の感性に響くものがあるのでしょう。
今回のバッグは、そんな塗り絵のような感覚で楽しんで頂けるよう、すべてのモチーフを使う形にカットし、縫い糸も付けてお渡しします。
上級者の方々には物足りなく思えるかもしれませんが、一年の終わりに、肩の力を抜いてとりくんでいただくことで心に満ちてくる何かを感じ取っていただけることを期待します。
見覚えのある生地に再び出会うことでなつかしさを感じ、意外な材料に触れることで、あらたなひらめきが得られるかもしれません。
そして、これまで躊躇されていた方々、久しぶりに何かを作ってみたいなぁという気持ちになられた方には、ぜひこれを機会に挑戦していただきたいです。
ほとんどが植物からインスピレーションを得たモチーフで、地上から舞い上がるようなイメージで配置しています。
持ち手との間に空間を作り、左右を違うデザインにすることで、見た目のフレームを感じさせず、さらに外へと広がっていけるという新しい年への希望を託しています。
いつも目の届くところに掛けてこれを作った時の気持ちを思い出したいと思います。
そして、ときどきみんなの目に触れるところに持ち出して、温かさや希望を感じてもらうことができたらさらに嬉しいです。
普段より、見た目重視のバッグではありますが、生地は裏表とも丈夫なコットンを使用し、内側にはポケットもあり、十分実用的になっています。
スムーズにお作りいただけるように材料をお揃えしますが、以下の点のみご了承下さい。
1.柄のあるものは、生地の取り方によって配色が若干変わる場合があります。
2.底についているポンポンはデットストックのウール糸を使用しているため、サンプルと違う色になる場合もあります。
3.手縫い用の糸はご用意いたします。ミシン用の糸はご用意ください。
いよいよ今年最後のマンスリーキットとなりました。
今年みなさまから頂いた励ましや優しさ、そして仕事を通じて得られた新たなことを糧に私自身さらに一歩外へと向かっていけたらと思います。
どうぞ、これからもよろしくお願いいたします!