Needlework Marble 大西淳子

Monthly Kit Archive

2015年9月のキット

リボンコラージュの
がま口財布

 
  • リボンコラージュのがま口財布
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作者より

 今年の初め頃、あるお客さまから2014年5月マンスリーキットの「がま口財布」が違う雰囲気であったら…というリクエストを頂いていました。自分でも、もう一度違う素材で考えてみたいなぁと思ってはいたのですがすぐに実行に移せなかったのには、ある理由がありました。

 私は自作のお財布を季節ごとに取り替えて使っており、今年は梅雨が明ける頃、この昨年5月のマンスリーキットのお財布に切り替えました。

 何度も書かせていただいておりますが、ハンドメイドのお財布というのは目に留まりやすいらしく、よく褒められます。

 ただ、この財布はその褒められる確率が、秋から冬にかけて使っていた2012年10月の「秋色の長財布」に比べると、なぜか比べものにならないくらい少ないのです。

 確かに、色や柄はおとなし目だから目立ちにくいかもしれないけれど、蛇腹に開くカードポケットの使いやすさやがま口の愛らしさを加味すれば、決して劣ってはいないと思うのです。なのに結果は…。

 この事実が私には無念でなりません。だからこそ、リクエストをいただいた時はとても嬉しく、それゆえに、絶対にこのお財布の価値が正当に評価されるものを作れる!という確信が持ててから取り組みたいと思ったのです。

 その後、今年の7月に、このキットとは全く違うポップな色合いの完成品をご注文で作った時、色や素材が変わるだけで、雰囲気がこんなに変わるのか、と気付きました。そしてこれをきっかけに、よし、9月のマンスリーキットはあのお財布にしよう、と決心しました。

 この時点では、デザインの変更については全く考えていませんでした。

 そして後日、別の用事で訪れた材料屋で今回の口金を見つけ、何となく自分の持っていた財布に充ててみたところ、いい具合ではまったのです。がま口部分の収納力もあがるし、雰囲気も新鮮、試してみる価値あるかも、とひとつ買って帰ることにしました。

 この段階でもまだ単なる口金の差し替えしか考えていなかったのですが、実はこのお気に入りの財布における唯一の残念な点~がま口とカードポケットを一度に使えないということ、どちらかを使う時にはどちらかを閉じておかなければならない~が常に私の中で潜在的に燻り続けていました。今回、何とかこの問題をクリアできないものかと口金を見つめていた時、そうだ、この本体とほぼ同じ幅のがま口なら後ろ面にカードポケットを付けても収まるのでは?と気付いたのです。そしてダメ元で試みたところ、なんと、収まった! やった~、私って天才? この時点で気持ちはマックスです。

 が、しかし、その後口金を付けようとすると、あろうことか口金がカードポケットに引っかかって付けられない…。

 うっそ~。もうバロメーターの針は水平状態ですよ。ああ、せっかく考えたのに、うまくいくと思ったのに…。

 でも、どうしても諦められません。というか、私には、どんなことにも絶対に解決策はある、という根拠なき自信みたいなものが常にありまして、これに則り、しぶとくいじくりまわしていたら、ふと閃きました。

 別にカードポケット、この深さでなくてもいいかも。そうです。口金が付く面のカードポケットだけ口金下ギリギリの深さにすれば収まるはず!深夜ではありましたが、乗り掛かった舟、私は頑張りました。そしてついに、このデザインが完成したのです。

 常に10万円以上の新札を携帯しなければならない方々(!)にとっては、使いにくいかもしれませんが、日常的に使っていただくお財布としてはとても便利だと思います。

 もちろん、それぞれの方が使いやすいように使っていただくのが一番ですが、ざっと使い方を説明をさせていただきますね。

 まず、がま口部分は深くて広いので、お札とコインの両方がいれられます。

 カードポケット部分の見やすさは従来通り。(万が一のことを考えてクレジットカードなどは深いポケットに入れることをお勧めします。)

 カードポケットの奥にもお札やレシートを入れられるスペースがあります。

 そして表側のポケットにはコインも入りますが、カードも入れられる大きさになっています。

 スナップを留めるときは、スナップを付けた部分をカードに被せるようにしてください。ちょっとひと手間ですがカードが安全にホールドできます。

 デザインが変わることによって作り方も随分とシンプルになりました。(ファスナーもないよ!)

 表面は当初から、さまざまなリボンやブレードに輸入物を中心としたプリントを合わせるというコンセプトで作り始めたものの、なかなか思うようにいかず、一時中断。そして再度材料を探し求めた時のネイビー×ピンクの水玉プリントとの出会いがようやく方向性を定めてくれたように思います。

 ヨーロッパやアメリカの素材を使いながらも、どこか大正ロマンの和を感じさせる不思議なテイスト。

 10センチ余りの口金、5センチにも満たないリボン、直径1センチほどの水玉…小さな小さなものたちの力が集まって生まれる果てしないクリエーションの世界。この楽しさは一度味わってしまうと、抜け出すことは、ほぼ不可能です。

キットについて

キット価格 9,000円(税抜)
サイズ 14×10センチ
キット内容 リボン・ブレード14種、プリント地17種、無地コットン、口金、薄手接着芯、中厚手接着芯、ビーズ11種、刺繍糸5種、スナップ

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