Needlework Marble 大西淳子

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2015年8月のキット

ヴィンテージ・
プリントの
多目的バッグ

 
  • ヴィンテージ・プリントの多目的バッグ
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作者より

 画像を見た瞬間の皆さんの感想は…

 「カワイイ!」それとも「作るの大変そう」。相反する思いが同時に浮かんだのではないでしょうか。

 もし、かわいい、と思っていただけたのであれば、問題はひとつ。大変そう、ですね。では、もしそれがちょっとした工夫によってクリアできるものであるとしたら…? そして、今回これらをマスターすることによって、ハンドメイドのグレードが確実にステップアップできるとしたらいかがでしょう。諦める前に、ぜひご一読下さい。

 ひとつずつ解説を進めてまいりましょう。

 まず、気になるのはビニールのキルティングですね。キルティングがこのバッグの大きな魅力であるとも言えるのですが。

 もっとも有名なキルティングバッグと言えば、シャネルの「2.55」と呼ばれる黒革のバッグ。今回は、1950年代フランス生まれのこのデザインに同じく50年代、アメリカのファッションにおいて流行した近未来的素材のひとつであるビニールを合わせて、クラッシックとモダンが融合したテイストを提案させていただきました。

 防水・防汚という実用性が本来の目的でしたが、仕上がってみますと、色褪せていたヴィンテージ・プリントが鮮やかによみがえり、プロバンス伝統模様の小花がぷっくり愛らしく盛り上がって、本来の魅力を20%くらい引き上げることができたかも、と自負しております。

 『アトリエ日記』(※1)でもふれさせて頂きました通り、本来ステッチは下準備のいる作業。通常は布の表もしくはキルト芯側にステッチのラインを描かなければなりません。それが今回は柄を利用してライン引きなしで行えるのです!

 ただひとつ、アドバイスとしてビニールは滑りが悪いので、ミシンの押さえ金に「テフロン加工」のものを是非お使い下さい。これで作業効率が大きく向上します。

 また、ご経験からビニールコーティングをすると生地が固くなって縫い合わせが難しくなるのでは、と思われるかもしれませんが、幸い生地も柔らかくなっていますし、夏はビニールが軟化しますので、私の感想として中厚手の生地と同じ感覚で扱っていただけると思います。

 次の気になる点はメッシュのポーチでしょうか。何となく針が引っかかりそう…というご心配を、テープで挟みながら仕上げていくことで解消させていただきました。テープはこちらでご用意致しますので、ご安心を。

 テープやファスナーの色、ベースの素材などを変えて、単品のポーチとして作ってもとても使いやすい形です。実際、試作で作ったものを私は小さいバッグ用の化粧ポーチとして活用しています。

 そして今回ぜひ挑戦していただきたいのが、底鋲です。これがあると、底部分の傷みが軽減されますし、何と言ってもバッグに高級感が生まれます。

 カシメを打つときの台と打ち棒、木槌があれば付けられます。

 今回強くお勧めするのは、とても付けやすい形状にあるからです。底板を入れる都合から、私は通常最後に底鋲を打つことにしているのですが、立体になってから細かい金具を木槌で打つのはとても大変。やり直しをしたりして、この作業だけで1時間を超えてしまったこともあります。

 それがファスナーが底まで開き、フラットな状態で打てることは、大袈裟にいうと夢のようなことなのです! デザインのアクセントカラーである「黒」が底に加わることで、全体がキュッと引き締まりました。

 単純に考えると、小さいものは縫うところが少なくて楽!という話になりますが、そんなことはない!というのが多くの経験者の声でしょう。かといって、限られたスペースの作業台の上で大きなバッグを作るというのも、なかなか苦労がいります。

 そういったことも考慮して今回のバッグはA4サイズのものが入ることを考慮した最大限コンパクトな大きさにになっています。

 元々、なぜ今回このデザインにしたかと申しますと、私が使っているレッスンバッグが随分くたびれてきたので、以前作ったものをバージョンアップして新調したいという私的都合がありました。

 面ファスナーで取り外しのきくポーチは糸やペンなど細かいものを入れておき、そのままテーブルの上に出せるという点でとても便利だったので、今回のバージョンにもそのまま受け継ぎ、それをメッシュでつくることによって一目で中身がわかるようにしました。

 より小さなものは細かい目のメッシュのほうへ入れると安心です。

 このポーチは旅行の時にも便利ですから、旅行用のバッグとしてもお勧めします。

 また、このくらいの大きさなら特別の目的なしに普段のバッグとして使っていただいても全く違和感がないのも嬉しいところです。

 ポップでキュートなバッグを開くと現れるのは「和」のモノトーンの静寂という意外性。

 遠目で見ると横縞模様のようですが、伝統的な伊勢型紙の「がまの穂」をモチーフにした連続柄です。それが現代風にアレンジされて色が少しずつ薄くなるようにプリントされており、墨絵のような陰影が加わっています。

 さまざまな表情を持つバッグを開くとメッシュのポケット越しに見えるのは、今ならタブレット、といったところでしょうか。ポーチには和みのひとときを楽しむカラフルな包みのお菓子が入っていたり…まさに、バッグは現代女性のもっとも親密なパートナーであり、バッグそのものがその人のアイデンティティと言えるのかもしれません。

 いかがでしょう、すこ~し、気持ちがグラッときましたか?

 根拠なき予想ではありますが、このままで行くと、今年も厳しい残暑が懸念されます。リゾート地へのお出かけも素敵だけれど、自分で演出した心地よい空間でハンドメイドを楽しむ夏休みも悪くありませんよ。そんな思いも込めまして、サマーセールとはいきませんが、8月ですからちょっとだけサービス価格の「夏休みキット」としてご提案させていただきます。新しいシーズンをいっしょに、ピカピカのバッグでスタート、致しませんか。

 

※1 アトリエ日記は2012年から2016年まで掲載されていたコンテンツです。現在はフェイスブックにて継続掲載中です。

キットについて

キット価格 12,000円(税抜)
サイズ 24×33×11センチ
キット内容 ヴィンテージ・プロバンスプリント、伊勢型紙調プリント、織り生地2種、デニム、メッシュ2種、ビニール、薄手接着芯、接着キルト芯、のび止めテープ、面ファスナー、ファスナー5本、バイアステープ、Dカン、底鋲、底板、丸カン、引手、ナイロンベルト、送りカン、鉄砲カン

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