ゴールデンウイークのジェオグラフィカのイベントに親しい友人が訪ねて来てくれました。すらりとした長身の彼女は、モノトーンやナチュラルカラーの洋服をゆったりと纏っていることが多いのですが、その日はコンパクトなジャケットに春らしい柔らかな色のストール、そしてバッグは珍しくターコイズブルーという出で立ち。会ったときから気になっていたのですが、会うのが久しぶりだったため、つもりに積もった話しを交わすのに精いっぱい。しまった!と思い帰宅してから、訪ねてくれたことへのお礼を兼ねて、今日の装いがとても春らしくて新鮮だったわ!とメールを送ったところ、褒めてくれてありがとう、という言葉と、たまにきれいな色を着ると気分が明るくなる、いくつになってもそういう気持ちをもつことが大事ね、という返信があり、その後もファッションの話でお互い盛り上がりました。
その日の私は、友人が運んで来てくれた美しい色に出会えたことはもちろんのこと、たとえ20年以上の付き合いであっても、『装う』という気遣いを大切にしてくれている、その気持ちがとても嬉しかったのです。
ファッションは自己表現ではありますが、たとえハンカチ1枚でも、新しいものを購入するときには、それを使うシーンや時間を共にする人の顔を無意識に浮かべていないでしょうか?褒められたい、というよりも、何か新しいものを身に付けることで、そこに生まれる会話や驚き、笑顔などを期待したくなります。そのひと時を少しでも楽しいものにしたいという思いやりの気持ちは、何よりその人自身を輝かせます。
作り手としては、常に商品の先にあるこれらの情景を思い描きながらデザインを考えなければなりません。大変ですが、自分の少し先にある笑顔を想像してみることは幸せな時間であり、これこそが一番大きなモチベーションとなっています。
今回は今までにない色合いの夏のバッグを提案してみたいと思いました。そして、いろいろと考えた末、多様な白をメインとした大人のトリコロールカラーでまとめることに。
イメージとしては、ヨーロッパのマダム達の夏の装い。太陽の光を跳ね返すような上質な白、さし色としてさり気なく取り入れられるきれいな赤、そしてそれらが似合う空や海のブルー。バッグの形も何だか船のよう?トリコロールだからセーヌ河に浮かぶプチ・バトーと言ったところでしょうか?
色合わせにインパクトがあるだけではなく、細部にもこだわっています。天然素材のボタンやニュアンスのある色と形のビーズによる装飾。持ち手やファスナーの始末には上質な革を取り入れています。(しかも、この部分は ほぼ完成品としてキットに組み込まれているというサービス付き!)もちろん機能的なポケットも多数装備されます。是非、この夏取り入れて頂きたい新鮮な1点です。画像をご覧いただきながら、みなさんの頭の中にはどんなイメージが浮かんでいますか?
私には既に、このバッグを身に着けた時のエピソードを、目を輝かせて語って下さるみなさんの笑顔が見えてくるようです。