Needlework Marble 大西淳子

Monthly Kit Archive

2014年5月のキット

藍染のがま口財布

 
  • 藍染のがま口財布
  • 藍染のがま口財布
  • 藍染のがま口財布
  • 藍染のがま口財布
  • 藍染のがま口財布

作者より

画像をご覧になって、あ~っ!と思われた方、少なくとも10数名はいらっしゃるはず。

 去る2月22日の目黒通りアンティークショップ『ジェオグラフィカ』にて開催いたしましたハンドメイドパーティーにて、自作の作品を発表していただく際に、とてもユニークなカードケースを披露してくださった方がいらっしゃいました。

 蓋を開けると中身がアコーディオンの蛇腹のように扇型に開き、網代状に組まれたポケットからカードがきれいに並んで顔を出しているのです。

 「どうなっているの~!」「作ってみた~い!」あちこちから歓声が聞こえます。もちろん私も大興奮。気前のよいHさんは、後日、私にサンプルとレシピをご持参くださり私は皆さんに伝授することを託されたのでした。

 あれから2か月、パソコンのそばにサンプルとレシピを置き、時々手に取っては作り方をイメージしてみるのですが、図面理解力が乏しい私にはまったく見えてきません。

 こんなことを何度やっても無駄、案ずるより産むが易し、まずはレシピをみながらひとつ作ってみよう、ということで取り組んでみたところ、意外と難しくない。これならみんな作れるんじゃない、と思ったものの、そうなると今度はこれを単に『カードケース』として終わらせてしまうのは、もったいないような気がしてきたのです。

 せめて表にポケットを付けてコインを入れられるようにする、いや、それでも物足りない。何とかこれをお財布に昇格させる方法はないものか・・・

 さて、こちらは一旦脇に置いておいて、私にはもうひとつ、前々から実現してみたいアイデアがあったのです。それは、長財布にがま口を付ける、というもの。

 財布を開けて中にがま口のコイン入れがついている財布というのは、よく見かけますが、私は中ではなく、外側に付けたいのです。わざわざ財布をあけなくても、コインだけが取り出せるというもの。単純に長財布の外側にがま口を縫い付けるということも考えたのですがこれでは、「長財布にがま口がついているだけ」になってしまいます。あくまでも、がま口が主役であってほしい、がま口の魅力といえば、やはりあの、ガマっと開く口でしょう、それが生きるデザインにしたいのです。そしてできれば今回は、まわりのファスナーがないものにしたい。結構ここが大変、とおっしゃる方も少なくないので、そういった方が安心して取り組めるデザインにしたいのです。

 そして、ある日、私の頭の中で化学反応が起こりました。あのカードケースにがま口を付けて、財布にしてみれば!?

 さっそくアトリエにあった口金をカードケースの蓋部分に合わせてみました。悪くない。長財布ではないけれど、お札も十分入る。最初は財布の外側にがま口を付けようと思ったのですが、そうすると財布を開いた時には使いにくく、中のコインがこぼれてしまう危険性もあります。また、カードポケット部分もサンプルのままでは開きすぎて、お財布では、ちょっと不安。安全性を優先して、ポケットの列を減らし、広がりを抑えました。さらに本体が開き過ぎてしまわない工夫や、収納量を多くするためのポケットを付けてまずは試作品を製作。なかなかよいところまで来たのですが、全体のバランスをみて、ポケットやスナップの位置、がま口の深さを修正。さらに調整を加えてようやく形が決まりました。

 仕様の話が続きましたが、デザインもいつもとは少し違った色合いと雰囲気です。私の制作のテーマのひとつでもある「着物地」を今年は今までとは違った方向性で提案していきたいという目標があります。菊の文様の藍染めを隣のモダンなファブリックが引き立ててくれます。これは先月の東急セミナーの際に受講生のKさんが、よかったら使って下さい、と他のインテリアファブリックといっしょに持ってきて下さったものです。この時すでに藍染を使ってお財布を作ることはぼんやりと決めていたので、この布を目にした瞬間、これだ!と一挙に表側のデザインが固まりました。

 内側のグラデーション、お店で生地選びを終えてレジに並んだあと、あっ、ちょっと待って!と追加したブドウ色が単調になりそうだった色合いに奥行を与えてくれました。

 さまざまなエピソードをお読みいただいている一方で、これって、すごく複雑なんじゃない?本当に誰でも作れるの?という不安が、もしかしたら頭を擡げてきたかもしれませんね。

 正直に言いますと、確かにプロセスは多いです。でも、以下の点に気を付けて順番通りに追っていけば、必ず完成に辿り着けます。(今回はしつこいくらいにレシピも詳しいです)

 注意する点とは、正確に裁断し、正確に印をつけ、それに従って縫うこと。これに尽きます。

 小さいものは、少しのズレが後々まで響きます。でも、もしやり直すにしてもせいぜい20センチくらいの長さの縫い直し。そうです、悩んでいないで、『案ずるより生むが易し』の精神ですよ。あなたの手によって作られたものが、大切な宝物となって手の中に納まる、この幸せを是非味わって下さい。

 最後になりましたが、制作に大きなきっかけを下さり、さらに弾みを付けて下さったHさんとKさんに心よりお礼申し上げます。

キットについて

キット価格 10,000円(税抜)
サイズ 10センチ(開いた状態20センチ)×14センチ
キット内容 藍染2種、織り地3種、プリント地2種、無地4種、ストライプ生地、シャンタン、口金、ファスナー2本、スナップ1組、薄手接着芯、中厚地接着芯、ヴィンテージビーズ、引手3種

マンスリーキットの詳細はこちら

2014年7月
2014年
7月

2014年3月
2014年
3月

マンスリーキットの一覧はこちら


最新の
マンスリーキット
に戻る


ホームに戻る

マンスリー
キット
アーカイブ
一覧へ

ページの
先頭へ