スーパークールビズ、グリーンカーテンなど、今年の夏の省エネ対策がいろいろなところで話題に上っています。
ちょっと思い描いただけでも、今年はいつもとは違う風景の夏になることは確実なようです。それは少し懐かしいもののようでもあり、また、クールビズにおいては、何か新しいコーディネートやスタイルが生まれるかも!という期待感もあります。
そんな流れの中で私も、持つ人が心地よく、見ている人も涼しさを感じられ、それでいて楽しくなれるようなバッグを考えてみたいと思いました。
今回は主に3種類の生地を組み合わせてデザインしています。エメラルドグリーンが美しいアメリカのプリント、水玉の大きさが絶妙のフランスのプリントなど、それぞれに素敵なのですが、やはり私としては縞の着物地に軍配を上げたいのです。
写真では、明るいコントラストの縞模様に見えるかもしれませんが、実際の生地にはうっすらとした陰りがあります。生地をよく見てみるとベースに細い黒い糸が織り込まれているのがわかります。日本のような湿度のある土地の光の中では、くすみのないクリアな色よりも、少しどこかに影のある色のほうが上手く溶け込み、身に纏う人にも馴染んでくれるのでしょう。それが日常着の中にもちゃんと取り入れられているということに、昔の人の美意識を再確認させられます。
さらによく見ると、ブルーの縞の中には1ミリにも満たない細い線が織り込まれており、黒の縞の両側にはさらに細いブルーと赤の線が織り込まれています。何のために?と問うことはきっと野暮なのでしょう。当時の職人にとって、美しさを追求することは、あまりに当たり前のことだったでしょうから。
フラップ付き外ポケットがアクセントの前面が正面ではありますが、レトロな水着(!)のような後ろ面も私は結構好きです。ファスナーポケットについた引き手のマーブル柄の革にもご注目を。
荷物がはいると膨らんで、体との摩擦が起きる部分には丈夫なコットンを使っています。内側は夏のブラウスのような爽やかなストライプにして、見た目にも軽やか、そして実際持ってみてもとても軽量です。
装いがシンプルな方向に向かえば、バッグは、これまで以上に、個性を表現する重要なアイテムになりそうです。
生活の中の無駄を見直し、楽しむところは思いきり楽しむ、そんな気持ちのメリハリで上手に暑さを乗り切りたいですね。