12月となりますと、やはり一年を振り返らずにはいられないわけですが、どれどれ今年はどんなものを作ったのだろうと、自分のHPを開き、過去の作品を改めて見てみると…昨今の不況、デフレを顧みない贅沢な材料の使いっぷり、暗い世相を反映しないビーズの輝き、今年も変わらず、いや更に高慢な姿勢でわが道を貫いてしまったなぁ…と今頃驚いておりますが、こうして無事年末を迎えられるのも、支持して下さる皆さまのおかげです。
本当にありがとうございます。そしてそんな方々のご期待にお応えするためにも、今年最後のキット、頑張りました。
この小さなバッグの中にびっしりと縫いつけられたビーズやスパングル、すべて今回の作品のために新たにセレクトしたものです。
そして口金。口金にはいろいろな取り付け方法がありますが、私、どうしても、口金の溝に紙紐を詰めて取り付けるという方法が不安で仕方ないんですね。やはり糸でしっかりと縫いつけたい。しかーし、なかなかそういった口金というものが売っておりません。
ましてや自分の気に入った大きさや色、デザインでこの手の仕様のものを探すとなると至難の業。で、ある時、ふと思ったんです。自分で口金に穴が開けられないものかと。さっそくパソコンに『金属に穴をあける』というキーワードを打ち込み検索。ありましたよ、そういうドリルの歯がホームセンターで売っているらしいんです。さっそく近所のホームセンターに行ってみると手持ちの電動ドリルに取り付けられるものがあったので購入し、穴開け開始。できた、できた。よし、これで使える口金の幅が広がった、と見た目重視で今回の口金をセレクトすることができました。
ところが、そう簡単にはいきません。いざ縫おうとすると、針が出ないんです。布の時には当たり前のようにやっていた掬い縫いが、金属という曲がらない素材相手ではとても困難であるという壁にぶち当たってしまいました。一瞬にして奈落の底に突き落とされましたが、こんなことでは諦められない!と思った時、私の脳裏に、以前、メーカーさんからあるものの商品説明を受けた時の記憶が蘇ってきました。そうだ、あれだ!それはCの字の形をした縫い針。かたいマットレスや立体的なぬいぐるみを縫い合わせる時に使用するものらしく、自分には関係ないな、と奥のほうに仕舞っていたのですが、久々に取り出してやってみますと、縫えましたよ!初めは慣れないので、時間が掛りましたが、口金のもう片側は半分くらいの時間で付けることができました。もちろん今回のキットにも入っております。そして、もちろん口金に穴も開けてお届けします!
こうして完成したガマ口バッグ、何だか金魚みたいでかわいいなぁ~。こういうのって、使えなくても飾っているだけでも嬉しいよね、と思う一方で、でもやっぱり、使いたい、見てもらいたい、という飽くなき欲望がむくむくと湧きあがってきます。
そのためにはやはりサブバッグ。あと、専用の小さいお財布も作れば、ガマ口のほうに携帯とパスモと鍵とお財布までは入れることが出来るんじゃない?
しかしですね、正直、このバッグを仕上げるのに、結構な根気とエネルギーを要します。この上、更に2個作れといういうのは酷か?と思い、躊躇しかけたところ思い当ったのが、スエード素材。縫い代の処理や裏地付けが要らないのに、丈夫でちょっと高級感もあります。
ガマ口のテンションでこれらを作り始めると、思った以上にあっけなく完成してしまい、ちょっとびっくりでしたが。
そうそう、ガマ口の持ち手は取り外しができるので、斜めがけ用のベルトを作ってアクセサリー感覚で纏うのもおしゃれです。
エネルギーの余った方は是非!
少し前に『二番底』などという言葉まで飛び出してきて、まだまだ明るい兆しは遠いようですが、そんな時こそ、ひとつのものにじっくりと時間をかけるという贅沢を味わっておきましょう。そこから得られる気持ちの豊かさは、何ものにも代え難い財産となってこれからの自分を支えてくれるはずですから。