前々からお財布を作ってみたいと思っていました。
お出かけ用の小さなバッグを持って出かけるとき、いつも使っている札入れだと大きすぎるのです。小銭入れの中にお札を折って入れたこともあるのですがこうすると小銭が出しにくくなる。それにせっかくバッグを選んでも、その中の小物が日常のままだと、盛り上がる気持ちに何となく水をさされたような気がするのです。
最近は生活全般においてカジュアル化が進み、「よそゆき」という言葉の影が薄くなりました。 私が子供の頃は、今と比べて物が極端に少ない状況でしたが、親にも子にも「よそゆき」の持ち物や装いがありました。
特に母親のよそいき小物が集まった引き出しは、憧れの世界。布張りの財布、シルクのスカーフ、扇子…そしてそれを身に着けるときの母を羨ましく思いました。
自分が女の子を持ったせいか、この頃よくそんなことを思い出します。そして自分も一人の女性として、昔の人が大切にしてきた身に着けるものへの思いをできるだけ受け継ぎ、大切にしていきたいと考えるようになりました。
とは言ってもやはり時代は流れています。キンキンピカピカのヨソイキはやっぱりちょっと気恥ずかしい。ふっと肩の力の抜けた、それでいて何となくおしゃれで、気持ちが華やぐような雰囲気をイメージしながら、コレクションのヴィンテージ素材の引き出しをごそごそ。使いたいけど、ハンカチほどの大きさもない生地もありました。でもつなぎ合わせれば、何とかなる、なった!
私の一番のお気に入りは、写真で見ると左上角の、鳩とカーネーションのプリントです。ピカソのような軽やかなタッチは何度見ても和みます。これと、下のほうに使ってある水色のチューリップのプリント、そして右上の小さいブルーの生地はフランスの1920年代から50年代くらいのもので、それ以外はアメリカのフィードサックや古いプリント生地です。どれもいい具合に時代を帯びて落ち着いているのですが、これを組み合わせるだけではちょっと地味でした。思案の末、秘蔵のヴィンテージビーズを使ってみることに。こちらも時間を経てきて、ところどころ色が褪せ、角がとれたりしているのですが、それがいいバランスで輝きを添えてくれ、思い切って使った甲斐がありました。
財布の中は小銭ポケットとお札を半分に折って入れられるスペース、そしてその向かいにカードを入れるところがあります。黄色!と思われるかもしれませんが、明るい色は細かいものがよく見えますし、風水的にもやはり黄色しかないのではないかと。
その後ろに配したグリーンの布はイタリアのリネンです。そして再び表に戻って後ろ面はターコイズのインテリアファブリック。補強を兼ねてステッチをしていますが、これに使用した蝋引きコードで、今回は、ファスナーもチクチクと返し縫いをしてつけていきますのでファスナーアレルギーの方もご安心下さい。
連休が終わったあと、梅雨明けまでの1年でもっとも気持ちのいい季節。
澄み渡った空は高く、若葉はぴかぴかと輝いているんです。
少し気を張ったおしゃれを楽しまない手はありません。