11月になるといろんな場所でクリスマスの飾りつけが始まります。クリスマスといっても仕事だったりしたことが多かったので、私自身はそれほどよい思い出もないのですが冬の澄んだ空気の中に小さく灯る赤やオレンジ色の光を見ると、何となく嬉しくなってしまいます。子供のころ見た絵本に描かれていた外国のクリスマスの風景、それにぼんやりと憧れていた頃の自分を懐かしく思いだします。今回のバッグは、気付いたらそんな私の気分が反映されたものになっていました。
材料の着物は先日の横浜アリーナの骨董市で購入しました。木綿に絣のような柄が、織りではなく染料で描かれています。ですので、長年の摩擦で絵が薄くなっているところもありますが、まあそれもご愛嬌と思って下さい。骨董市の帰りは電車の中でその日買ったものをひとつひとつ思い出して、これでどんなものが作れるかな、なんて考えています。ただ、その日はこの着物のことが妙に印象に残っていて、これを使って何を作ろうかということをずっと考えていました。
その日が強い雨風で肌寒かったこともあり、きものの絣柄がほのぼのとした暖かな灯りのように感じられて考えているだけで少し心が温められるような気がしたのかもしれません。これだけでも十分かわいいバッグになったと思うのですが、ちょっと薄くなってしまった柄の部分を補いたい気持ちもあって赤とオレンジの刺繍糸を使ってチェーンステッチの丸を所々に足し、黄色のビーズもちょっと付けてみました。ささやかですが立体感が出て、明るさもクリスマスシーズンにちょうどよくなったかなと思います。
「ビーズと古裂の小物」を見ながら久しぶりにグラニーバッグを作ってみました。荷物の多くなる冬には、軽くてたくさん入るこのバッグが活躍しそうです。