体重があり過ぎ肥満になったら、いろんな病気を引き起こしそうですし、やせすぎても栄養が低くなり、病気をはねのける力が弱くなり、長寿ということにはならないのではないでしょうか。
 
各国の研究者が、このことについてたくさんの論文を発表しています。
体重のキーポイントは、BMIです。

BMIとは、WHOが1997年に発表した肥満判定基準で、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求めます。
判定は、 20以下 やせている
~24 標準
~26.5 やや肥満、過体重、太りすぎ
26.5以上 肥満
      
日本肥満学会では、2000年に下記のようにしました。
18以下 低体重
22 標準体重
25以上 肥満
      
具体的に、身長を基準に考えますと、170cmの人の標準体重は、63.6kg 160cmの人の標準体重は、56.3kg 150cmの人の標準体重は49.5kgとなります。

韓国の調査では、死亡率が最も低いとされるのは、BMI23.0~24.9です。
日本の標準体重22、WHOでは、24までが標準体重ですので、「やや肥満」に近い数字です。

日本の調査においても、40~49歳の男性では、病気などの危険が最も低かったのは、BMI24~26の群で、やはりやや肥満の人が含まれています。
また別の調査でも、死亡率が低いのは、痩せでも極端な肥満でもなく、いわゆる中庸の体型であることが明らかとなり、この結果をもとに「小太りの長寿学」を提唱している人もいます。
 
アメリカの600万人の大規模調査からも、小太りの人は、体力エネルギーがあり、病気への抵抗力がやせている人に比べ強いので、寿命が長いとしています。
 
BMI26.5以上の肥満においては、生命予後に対する影響が見られます。アメリカの大規模調査では、肥満度のどのレベルにおいても、高齢者より若年者層に生命予後に対する大きい影響が見られます。極端ですが、20~30歳の白人男性でBMI45以上では、寿命が13年、女性では8年短いという結果も出ています。
 
オランダの研究では、40歳で、非喫者でやや肥満の人の場合、女性では、3.3年、男性では、3.1年平均寿命が短くなりました。
また、非喫煙者で肥満の人の場合では、正常体重の人より、女性で7.2年、男性で6,7年も平均寿命が短くなりました。
 
喫煙者の場合では、肥満の人が正常体重の人より女性で13.3年、男性では、13.7年も平均寿命が短いです。
 
このことから、肥満とやや肥満は、平均寿命を大幅に縮めるとともに、喫煙者の場合、さらにリスクが高まります。
若いうちから太らないように予防することが大切と思われます。年齢とともにBMIの影響は、減弱しますが、特に40歳時の肥満度が寿命を短くするようです。ある別の研究では、BMI27程度から死亡率が増加するといわれています。
 
65歳以上の高齢者ですが、日本の大規模調査では、全死因死亡率リスクは、男女とも肥満者より、やせに高く出ています。
高齢者の低栄養に気をつけることが大切かと思われます。高齢者では、若い頃より太めのほうが望ましいとしています。
 
総合して考えれば、若い頃(40歳ごろ)は標準体重で、高齢者(65歳ごろ)になってからはやや肥満が死亡率を減弱させるようです。
寿命には体重だけでなく、コレステロールや糖尿病、血圧その他多くの因子が考えられています。これらも健診などを受けて異常がないかどうか、調べるのが良いと考えられます。

わたなべクリニック
渡邉 文治