がん研究振興財団の発行する「がんの統計を」見ると2009年の女性のがん死亡率の第一位は大腸がん(結腸がんと直腸がん)であり、今や肺がんや胃がんを抜いてしまいました。
ちなみに男性は肺がん、胃がん、肝臓がんについで大腸がんは4位でした。実は大腸がんは女性のほうが罹患率や死亡率は男性の2倍といわれています。
そもそも日本では大腸がんも胃がんも早期発見さえすれば内視鏡的切除や外科手術によりほぼ100%の治癒が得られる病気です。
 
何故大腸がんの死亡率が高いのでしょう。
それは大腸がんが食生活の変化や酒やたばこなどの嗜好品を摂りすぎることで発症数が増加してきたうえに発見が遅れることが原因です。
大腸がんは胃がん同様早期ではまったく症状がありません。高齢な方はがんがゆっくり発育することもあります。またお腹の右側にある盲腸や上行結腸は内径が大きいのでがんの症状が出にくい場所といわれています。肛門からの出血、便柱狭窄、便秘症状、便秘と下痢の繰り返しなどの症状が出るときにはがんは進行していると考えられます。
症状が出てもなお放置すれば、発見されたときは既に肝臓や肺などの他臓器に転移があり、がんが腸管壁を破ってお腹の中全体に播種(がん細胞がばらまかれた状態)していることが少なくないからです。ではどうすればよいのでしょうか。
 
答えは早期発見するチャンスをつくることです。40歳でもよいのですが50歳を過ぎたら無症状であっても是非全大腸ファイバースコープか大腸バリウム透視検査を受けてください。
最近ではCT検査を利用してコンピュータ画像診断する方法もあります。早期発見には少し精度が落ちますが便潜血反応を調べてもらうことも有効です。
毎年検査を受けることが理想ですが一度検査を受けてポリープ等のない方は2年毎で充分です。ぜひ心がけてほしいものです。

田中クリニック
田中 公朗